学園最強の悪役令息たる俺様への営業妨害〜破滅寸前の家に転生した青年、真面目でヘタレでいい人な事が暴かれていく〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中

文字の大きさ
16 / 25
2章 悪役令息、領地を改革する

真のフォームになる悪役令息

しおりを挟む
ーside ジークハルトー


「平和なのだー」
『平和なのです』


 ズンドラゴンに乗って町まで歩いていく。
 位置的にはロンバルについているはずだが、辺りには何もない。
 一応、遠くの方には町らしき何かが見える。
 ただ、領地はなるべく色々見て回りたいので、森と川の近くで降りることにした。


「なーんもないな。自然豊かだ。森の中には強そうな魔物も結構いるな」
「あんなの我と主人にかかれば敵じゃないのだー。実際、我と主人の圧倒的な力に怯えて距離を窺って静かにしているのだー」
「俺を含めないでくれよ。ドラゴンでもあるまいし、俺を怖がる事はないだろう」
『あるのです。主人、主人じゃなかったらかなり怖い圧を放っているのです』
「まじか」
『まじなのです』


 ちょっとショックである。人間の友人さえアリスたち以外碌にまともにできた覚えがない。
 魔物にくらい俺に怯えずに一緒に戦うのを楽しませてくれたっていいじゃないか!?


『そうそれ。その圧特に怖いのです』
「我ですらその戦闘狂のオーラには一瞬ゾクッとしたのだー。一般の魔物には到底耐えられる威圧ではないのだー」


 そうなのか。ならこれから、殺気を抑えて冷静に対処する事も必要なのかもしれない。
 魔物にビビられて出てこないのは、素材集めとかに苦労したりするかもしれないからな。俺様はなんだかなんだで、クラフトの授業は好きなのだ。


「ふむ。まあビビってくれているのはありがたい。それだけ戦闘力が落ちているということでもあるからな。そっちから来ないのであれば、こっちからいくまでだ」
「そういうところなのだ。追い詰められているやつをなんの感情もなくさらに淡々と追い詰める。そういうところが本当にノンデリなのだ」
「うるさい」


  ズンドラゴンの事を無視してウッキウキで魔物のところまで行く。魔物は結構な速さで逃げているみたいだ。


「まてまてー逃げるなよ」


 地獄の鬼ごっこの始まりである。
 このまま普通にやってたら逃げられるだろう。地の利はあちらにある。なので加速する。逃げれば、余計に追われることをご存知ない?それくらい魔研ゼミで教わっただろう。


『主人楽しそうなのです』
「あれが、主人の本来の姿バトルジャンキーフォームなのだー」
『なんと、真の姿はあちらだったのです?普段のポンコツインキャモードは擬態だったのです?』
「おいこら」

 
 ど直球すぎるローラの発言に思わず魔物から目を逸らす。俺が真っ当に戦おうとした時に、そんなこと思ってたのかよ今まで。
 

「そうなのだー普段の主人は別にインキャでも悪人でもなくただの変人なのだー」
「なんと、納得です!今まで疑問に思っていた全ての辻褄が合ったのです!QEDなのです!」
「ちょっとまて」
 
 
 え?それ俺が変人ってことの証明になってない? 俺がその証明に意義ありと待ったをかけようとする。
 それはそれとして、完全にこの辺にいた魔物はこの場から見失ってしまったな。仕方ない引き返すか。
 その時、前方にいた魔物が一斉に倒れた。
 それも、全部か麻痺か怯みによって隙をつかれた形で倒れていた。倒した人物はたいして強くないが嫌な予感がする。

 
「まひるみ!最強!」

 
 聞き覚えのある声が前方から聞こえてくる。とても嫌は大当たり。俺が最も苦手なタイプである光属性の人物がこんなところにいたんだ。
 
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...