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2章 悪役令息、領地を改革する
傷ついたフェンリルを救う悪役令息
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―side ジークハルト―
「それで精霊と言えば、精霊魔法だよな?ローラはそんな精霊魔法を使えるんだ?」
『私は光魔法が得意なのです』
「回復魔法……!」
「思った100倍は有能なのだー」
『私に対する元々の期待、低すぎではないのです?』
「自分の過去の行動を振り返るのだー」
『はて、思う当たる節がありすぎるのです』
「ハハッ」
ローラに態度がでかいだけで何もしないという自覚があるだけまだマシか。
しかし、光魔法の使い手でサポーター型の戦い方をするポジションの精霊だとすると、話は変わってくる。光魔法は、味方を強化する技が豊富に存在し、味方を回復することにも長けているからだ。
パーティに1人はいて欲しい役割だな。まあ、ズンドラゴンと俺にどれだけ役に立つかはわからなくはあるのはそれはそう。そもそも、俺たちは怪我をしない上に、最低限の回復魔法は使えるのだ。そして、大体の傷は自分の回復魔法で癒してしまう。なので、ローラの出番がなかったわけだ。
とそんな事を道中話しながら、冒険者ギルドへのご挨拶も終わった俺様はウィリアムとズンドラゴン、ローラと一緒に陛下に用意してもらった屋敷――領主の館へ向かう。
どんな楽しみだなあと思う。
――キューンキューン
その道中、道に犬が倒れていた。
「泥だらけのワンコか、まあほっとくか?」
おっほん。だって、俺様は世間では極悪非道の悪役令息様だぞ俺様がこんな犬に屈するわけないだろうが!
「もうその俺様設定、大分きついものがあると思うけど……、子犬気になるんだね」
「気になります、というか設定とかいうな。俺様は……」
「はいはい、悪役悪役」
「聞けよ!」
茶化してくるウィリアムは置いておいて、こんなところで倒れている子犬がかわいそうだ。
「見過ごせないな。ローラ、回復魔法をかけてあげて。浄化の魔法も」
『はいなのです』
――ピッカー!
これは……期待以上だな。ローラの回復魔法は。
瀕死だった子犬が見る見るうちに元気になった。上級……いや、おそらく超級の回復魔法だろう。
超級の回復魔法といえば、この国では聖女様と教皇しか使えなかったはずだ。
その回復魔法を使える精霊を従えている人など、このように何人いるのだろうか?どんどん、他人には迂闊にいえない秘密が増えていく。
それはそれとして、目の前の子犬は美しい銀色の毛並みになった。
「きゃん!きゃん!」
――ペロペロ
普通に懐いてきてかわいいなこら。この可愛さにだったらいくらでも屈せる。
「お、このワンちゃん!フェンリルなのだー!」
なんだって!フェンリル!?
フェンリルといえば、Sランクの魔物である。エンシェントドラゴン同様に大人になると、国一つを軽々滅ぼすと言われている最強の狼系魔獣。
他の誰かに見つかったら大騒ぎだ。すぐに保護しないと!
「ほーう、言われるまで気づかなかったが、確かにそうではないか?」
「そーなんだ。ジークハルトはどんどん着実にわが国を滅ぼせる力を手に入れているねえ」
「物騒な事言わないでくれ」
「極悪非道の悪役令息様?どこ言ったの?」
「知るか!と、とりあえず、さっき冒険者ギルドでもらった肉!肉を食わせてあげよう!」
ズンドラゴンとローラが食い意地を張りまくるから、結構多めにお肉をもらったのだ。
フェンリルの子供に分けるくらい多くある。
――ガッガッガッガ!
「キューンキューン!」
――ピッカーー!
フェンリルが突然光った。光が収まると俺とフェンリルの間に魔力的な繋がりを感じる。
あ、これテイムが成立しているやつだ。
もっと懐かれてしまった。くぅ……このフェンリルの可愛さ、完全敗北だ。
「あははっ!ジークハルトになつくとは!フェンリルも見る目あるね。なんせ、ジークハルトは色々なものをくれるからね」
「キューンキューン」
「えっ?まさかの物理的理由?」
――コクコク
フェンリルはこっちを見て力強く頷いている。え?そこまで全肯定します?
そんな、物質的要求を満たされるから俺と契約した感じなのか?俺ってATMなのか?
さっきのあざとさはどこへ?
「キューンキューン!」
「もっとちょうだい!――って、結局、食い物目当てかよっ!」
うーん、あざといから許す!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「それで精霊と言えば、精霊魔法だよな?ローラはそんな精霊魔法を使えるんだ?」
『私は光魔法が得意なのです』
「回復魔法……!」
「思った100倍は有能なのだー」
『私に対する元々の期待、低すぎではないのです?』
「自分の過去の行動を振り返るのだー」
『はて、思う当たる節がありすぎるのです』
「ハハッ」
ローラに態度がでかいだけで何もしないという自覚があるだけまだマシか。
しかし、光魔法の使い手でサポーター型の戦い方をするポジションの精霊だとすると、話は変わってくる。光魔法は、味方を強化する技が豊富に存在し、味方を回復することにも長けているからだ。
パーティに1人はいて欲しい役割だな。まあ、ズンドラゴンと俺にどれだけ役に立つかはわからなくはあるのはそれはそう。そもそも、俺たちは怪我をしない上に、最低限の回復魔法は使えるのだ。そして、大体の傷は自分の回復魔法で癒してしまう。なので、ローラの出番がなかったわけだ。
とそんな事を道中話しながら、冒険者ギルドへのご挨拶も終わった俺様はウィリアムとズンドラゴン、ローラと一緒に陛下に用意してもらった屋敷――領主の館へ向かう。
どんな楽しみだなあと思う。
――キューンキューン
その道中、道に犬が倒れていた。
「泥だらけのワンコか、まあほっとくか?」
おっほん。だって、俺様は世間では極悪非道の悪役令息様だぞ俺様がこんな犬に屈するわけないだろうが!
「もうその俺様設定、大分きついものがあると思うけど……、子犬気になるんだね」
「気になります、というか設定とかいうな。俺様は……」
「はいはい、悪役悪役」
「聞けよ!」
茶化してくるウィリアムは置いておいて、こんなところで倒れている子犬がかわいそうだ。
「見過ごせないな。ローラ、回復魔法をかけてあげて。浄化の魔法も」
『はいなのです』
――ピッカー!
これは……期待以上だな。ローラの回復魔法は。
瀕死だった子犬が見る見るうちに元気になった。上級……いや、おそらく超級の回復魔法だろう。
超級の回復魔法といえば、この国では聖女様と教皇しか使えなかったはずだ。
その回復魔法を使える精霊を従えている人など、このように何人いるのだろうか?どんどん、他人には迂闊にいえない秘密が増えていく。
それはそれとして、目の前の子犬は美しい銀色の毛並みになった。
「きゃん!きゃん!」
――ペロペロ
普通に懐いてきてかわいいなこら。この可愛さにだったらいくらでも屈せる。
「お、このワンちゃん!フェンリルなのだー!」
なんだって!フェンリル!?
フェンリルといえば、Sランクの魔物である。エンシェントドラゴン同様に大人になると、国一つを軽々滅ぼすと言われている最強の狼系魔獣。
他の誰かに見つかったら大騒ぎだ。すぐに保護しないと!
「ほーう、言われるまで気づかなかったが、確かにそうではないか?」
「そーなんだ。ジークハルトはどんどん着実にわが国を滅ぼせる力を手に入れているねえ」
「物騒な事言わないでくれ」
「極悪非道の悪役令息様?どこ言ったの?」
「知るか!と、とりあえず、さっき冒険者ギルドでもらった肉!肉を食わせてあげよう!」
ズンドラゴンとローラが食い意地を張りまくるから、結構多めにお肉をもらったのだ。
フェンリルの子供に分けるくらい多くある。
――ガッガッガッガ!
「キューンキューン!」
――ピッカーー!
フェンリルが突然光った。光が収まると俺とフェンリルの間に魔力的な繋がりを感じる。
あ、これテイムが成立しているやつだ。
もっと懐かれてしまった。くぅ……このフェンリルの可愛さ、完全敗北だ。
「あははっ!ジークハルトになつくとは!フェンリルも見る目あるね。なんせ、ジークハルトは色々なものをくれるからね」
「キューンキューン」
「えっ?まさかの物理的理由?」
――コクコク
フェンリルはこっちを見て力強く頷いている。え?そこまで全肯定します?
そんな、物質的要求を満たされるから俺と契約した感じなのか?俺ってATMなのか?
さっきのあざとさはどこへ?
「キューンキューン!」
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うーん、あざといから許す!
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