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2章 悪役令息、領地を改革する
アンガーマネイジメントに優れている悪役令息
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―side ジークハルト―
「楽しみだな」
「ふっふふ~楽しみだねえ~」
『勝利を確信しているです』
「勝ち確なのだ~」
「キューンキューン!」
フェンリルを拾った後、俺たちは予定通りこの街の領主の館へ向かう事にした。
初めての俺だけの家。楽しみすぎる。俺も勝ちを確信している。
――歩くこと数分後
「は?」
――ゴオオオオオオオオ
目の前には幽霊が出そうな雰囲気の屋敷がある。
「えっ!?これが俺の屋敷?」
『負け確演出なのです』
「フラグだったのだー!負けたのだー!」
「ふふっ!賭けは僕の勝ちのようだね」
「おい、人の家の状態を賭けの題材にすな」
なんてものを賭けの題材にしているんだ。
ん??ちょっと待て。さっき純粋に家を楽しみにしていたのってもしかして俺だけ?
他3人は賭けに勝つことが楽しみだっただけなのか?
あと、ウィリアム……お前、最初から知っていただろ?
「いや、ウィリアムは本当に知らなかったのだー。俺も心を読んでいたのだー」
『ウチも真偽の瞳を使って確かめたのです』
「能力の無駄使いすぎる」
しかも、その能力を使って負けてるし。ダサすぎる。
「その状態で負けるのが最高にジークハルトの従魔って感じだよね。不憫で」
「ああっ……それは俺もなんとなく分かる。主人は従魔に似るっていうしな。っておいっ!」
自分でも納得してしまうほど説得力があったのが悔しい。
別にウィリアムは煽っている訳ではなく悪気なく事実を言っているというのが余計に腹立たしい。
けどまあ、一旦落ち着いて考えると、どーせこの賭けは勝てると思ってウチの従魔が先に仕掛けて返り討ちにあっただけなんだろうし、従魔の遊びに付き合ってくれて感謝もしている。
それはそれとしてだ。俺は目の前にある屋敷を見る。
「この屋敷」
「うん、この雰囲気だとアンデット系のモンスターとかいそうだよねえ」
「住み着いているだろうなあ」
もしかしなくても、国王陛下。
俺たちにここにいるアンデッドを討伐して欲しくてこの領地渡したのでは?いや絶対そうだ。
『アンデッド系の魔物は得意なのです、ここは任せるのです』
「頼んだ」
確かに精霊はアンデッド系の魔物に強いと言われているな。
だがそれは普通の精霊の場合で、おおよそ普通とはかけ離れているローラには全然任せられないから、めっちゃ警戒はする。
『ホーリーレイン』
ローラがそう唱えると、聖水の雨が降り注ぐ。
上級の属性の魔法だ。
――ギャアアアアアアア
家から大量の悲鳴が聞こえてくる。
今ので大分アンデットが消えたようだ。
周囲の雰囲気も澄んでいる。
「すっ……すげえ」
「これが……昔子供の頃に読んでいた御伽話に出てくる精霊の実力。実際にこの目で見られるときがくるなんてね。圧巻だよ」
『見たか!これがウチの力なのです!』
「あっ、ああ。口だけじゃなかったんだな。お前……これが、精霊の力か……」
「久々に見たが我も驚いたのだー。この力。ローラ、お主もしかして精霊王か?」
「なっ……!?」
精霊王……それは伝承にも残る4大精霊のこと。
人の住めない場所を支配しているとされる伝説の存在。
『違うのです!我はそんな偉くないです』
「だが……その力」
『う、う、うちにそんな大層な力はないのです」
「…………」
「…………………嘘下手なんだな」
「下手なんだねえ」
「下手なのだー」
うん、どー考えても嘘だと分かる。
だが、まあ。ローラが隠したいのも分かるからこれ以上の詮索はやめよう。
そうみんなに伝えようと思った時。
「あっ!思い出したのだ!ローラ、お主。もしや精霊大王の娘さんなのでは?」
「はっ?」
『ち、ち、ち、ち、ち……』
あっ……これは……。
『違くないのです』
ああ、もう誤魔化せないとわかって認めちゃったよ。ズンドラゴンくんさあ。
ローラがちょっと泣きそうになってて可哀想だ。
「大丈夫だ。俺はお前にどんな過去があってもお前の味方だよ」
『主人、優しいのです。ありがとうなのです』
ほっとしているようだ。よかった。
うんうん。だんだん涙も引いてきている。
『だからこそ悪いことをしたのです。ウチが主人の人生の進路を賭けてしまったことを』
「ん??」
ん?気のせいかな、今俺の人生を賭け事で賭けたって聞こえたんだけど。
というか、そーいえば。
「束の間のことをお聞きするけど、さっきの賭け事何を賭けてたんだ?」
「「『あ』」」
えっ!何今のリアション。本当に何賭けた!?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「楽しみだな」
「ふっふふ~楽しみだねえ~」
『勝利を確信しているです』
「勝ち確なのだ~」
「キューンキューン!」
フェンリルを拾った後、俺たちは予定通りこの街の領主の館へ向かう事にした。
初めての俺だけの家。楽しみすぎる。俺も勝ちを確信している。
――歩くこと数分後
「は?」
――ゴオオオオオオオオ
目の前には幽霊が出そうな雰囲気の屋敷がある。
「えっ!?これが俺の屋敷?」
『負け確演出なのです』
「フラグだったのだー!負けたのだー!」
「ふふっ!賭けは僕の勝ちのようだね」
「おい、人の家の状態を賭けの題材にすな」
なんてものを賭けの題材にしているんだ。
ん??ちょっと待て。さっき純粋に家を楽しみにしていたのってもしかして俺だけ?
他3人は賭けに勝つことが楽しみだっただけなのか?
あと、ウィリアム……お前、最初から知っていただろ?
「いや、ウィリアムは本当に知らなかったのだー。俺も心を読んでいたのだー」
『ウチも真偽の瞳を使って確かめたのです』
「能力の無駄使いすぎる」
しかも、その能力を使って負けてるし。ダサすぎる。
「その状態で負けるのが最高にジークハルトの従魔って感じだよね。不憫で」
「ああっ……それは俺もなんとなく分かる。主人は従魔に似るっていうしな。っておいっ!」
自分でも納得してしまうほど説得力があったのが悔しい。
別にウィリアムは煽っている訳ではなく悪気なく事実を言っているというのが余計に腹立たしい。
けどまあ、一旦落ち着いて考えると、どーせこの賭けは勝てると思ってウチの従魔が先に仕掛けて返り討ちにあっただけなんだろうし、従魔の遊びに付き合ってくれて感謝もしている。
それはそれとしてだ。俺は目の前にある屋敷を見る。
「この屋敷」
「うん、この雰囲気だとアンデット系のモンスターとかいそうだよねえ」
「住み着いているだろうなあ」
もしかしなくても、国王陛下。
俺たちにここにいるアンデッドを討伐して欲しくてこの領地渡したのでは?いや絶対そうだ。
『アンデッド系の魔物は得意なのです、ここは任せるのです』
「頼んだ」
確かに精霊はアンデッド系の魔物に強いと言われているな。
だがそれは普通の精霊の場合で、おおよそ普通とはかけ離れているローラには全然任せられないから、めっちゃ警戒はする。
『ホーリーレイン』
ローラがそう唱えると、聖水の雨が降り注ぐ。
上級の属性の魔法だ。
――ギャアアアアアアア
家から大量の悲鳴が聞こえてくる。
今ので大分アンデットが消えたようだ。
周囲の雰囲気も澄んでいる。
「すっ……すげえ」
「これが……昔子供の頃に読んでいた御伽話に出てくる精霊の実力。実際にこの目で見られるときがくるなんてね。圧巻だよ」
『見たか!これがウチの力なのです!』
「あっ、ああ。口だけじゃなかったんだな。お前……これが、精霊の力か……」
「久々に見たが我も驚いたのだー。この力。ローラ、お主もしかして精霊王か?」
「なっ……!?」
精霊王……それは伝承にも残る4大精霊のこと。
人の住めない場所を支配しているとされる伝説の存在。
『違うのです!我はそんな偉くないです』
「だが……その力」
『う、う、うちにそんな大層な力はないのです」
「…………」
「…………………嘘下手なんだな」
「下手なんだねえ」
「下手なのだー」
うん、どー考えても嘘だと分かる。
だが、まあ。ローラが隠したいのも分かるからこれ以上の詮索はやめよう。
そうみんなに伝えようと思った時。
「あっ!思い出したのだ!ローラ、お主。もしや精霊大王の娘さんなのでは?」
「はっ?」
『ち、ち、ち、ち、ち……』
あっ……これは……。
『違くないのです』
ああ、もう誤魔化せないとわかって認めちゃったよ。ズンドラゴンくんさあ。
ローラがちょっと泣きそうになってて可哀想だ。
「大丈夫だ。俺はお前にどんな過去があってもお前の味方だよ」
『主人、優しいのです。ありがとうなのです』
ほっとしているようだ。よかった。
うんうん。だんだん涙も引いてきている。
『だからこそ悪いことをしたのです。ウチが主人の人生の進路を賭けてしまったことを』
「ん??」
ん?気のせいかな、今俺の人生を賭け事で賭けたって聞こえたんだけど。
というか、そーいえば。
「束の間のことをお聞きするけど、さっきの賭け事何を賭けてたんだ?」
「「『あ』」」
えっ!何今のリアション。本当に何賭けた!?
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