学園最強の悪役令息たる俺様への営業妨害〜破滅寸前の家に転生した青年、真面目でヘタレでいい人な事が暴かれていく〜

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2章 悪役令息、領地を改革する

ちゃんと周りに心配されてた悪役令息

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―side ジークハルト―


 
「ローラとズンドラゴンが勝ったら第二王子の元にお前たちの身分を保証する。僕が勝ったらジークハルトを僕の側近として採用するだね」
「なっ!それって、俺に1ミリの得なくないか?」
「ないよ?」
「ないのだー」
『ある訳ないのです?』


 いやいやいや……なんでみんな疑問に思って首を傾げているか不思議なんだけど?開き直りすぎだろ。俺に損しかない話を勝手に3人で進められていたってこと?


「――ってふざけんな!無効だ無効!絶対ウィリアム最初からこの屋敷がボロいこと知っていただろ!」
「どうだろうねえ~」
「それにウィリアムの側近!俺なんかがなれるわけないだろう!俺は破滅寸前の家の人間だぞ!?そんな人を側近に誘ったら?」
「ん……?誰が破滅寸前の家だって?」


 そこで、ウィリアムが一枚の紙を取り出す。


「国王陛下からの伝言を預かってきた。今日この度、お前にロンバル男爵の地位と名誉を授ける……とだから大丈夫」
「へ……?えっ……!?」


 何をいっているんだこいつは。紙は……サインがある本物っぽい。陛下の急なお言葉に動揺しまくる。

 
「つまり。もう、君はデズモンド家の人間ではなく新たに生まれた男爵家――ロンバル家の人間だ。デズモンド家とは縁を切っても構わないし、俺の側近になっても問題ない。お前の家のことはポチがやらかしてからでいい」


 頭が追いつかない。独立?なぜ急に?えっ……なんか俺やっちゃったか?


「今までの行動からすると当然だ。エンシェントドラゴンと精霊大王の娘をテイムした者を見過ごせるはずもない。だから、どっかのタイミングでデズモンド公爵家からは独立させていたと思うよ。それがたまたま今のタイミングだっただけ」
「そんな……父上は?」
「ああ、君の父上はお前のことが邪魔な存在だったのか?金さえ渡したらいいよーっと全力でこちらに引き渡そうとしていた」
「血も涙もねえな」
 

 あんの、クソ親父。俺はあんたのやってきたことを色々精算しようと公爵量を改革してきたつもりだったのに。


「まあまあ、君が怒る気持ちもわかる。だから、王家はもしポチ=デズモンドが失脚したらデズモンド家を立て直して欲しいと思っている。その前に独立させて領地を運営できる経験を積ませたいんだろうね?そう考えたら君にも悪くない話だろう」


 ふむ。なるほど。そー言う考え方もできるのか。きっとウィリアムやこの国の偉い人たちは俺のことを不憫に思って色々裏で手を回してくれていたのだろう。俺の行いはしっかりと見られていたのだ。感動。


「ウィリアム」
「ん?」
「ありがとな」


 なんだかんだで、1番俺のことを心配してくれていたのはこいつだということはわかる。
 ありがたい。


「全然、僕はジークハルトを側近にしようって考えてただけだから作戦通りに言ってハッピーって感じ」
「あ?」
「あ、ちなみにもうすでに陛下には根回し済みだから」
「断らせる気ねえだろお前」
「当然」


 まあ、いい。全てはウィリアムの手のひらの上だろうが、側近になってポチ=デズモンドを追い出せるために動けるのであれば、それはこっちにもメリットがあることだ。

 
「色々わかった。俺を心配してくれたお前をはじめ、国王陛下や関係各所にもお礼を言っておいてくれ」
「うん」
「それから、俺はまだデズモンド家と縁を切るつもりはない。ポチをトップから引き摺り下ろさない限りは」
「わかった」
「俺から言えることはそんなもんだ。先のことばっかり考えてもいられないから、今はそれよりもこの家と領地をどうするか考えよう」
「そうだね」
『話は終わったのです?』
「眠かったのだーお腹すいたのだー」
 

 そういえば、こいつらもいたな。――って、ちょっと待て。


「元はと言えば、お前らが変な賭け事をしていなければこんな頭がこんがらがるようなめんどくさい事になっていなかったのでは?」
「『げっ』」
「あと、ウィリアム。お前やっぱり最初からこの家がボロいこと知っていただろ?」
「さあねえー」


 あーー!もう!本当にこいつらっ、癖が強い!!
 
 

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