異世界てるてる坊主

えすくん

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第2章 びしょぬれ令嬢の回想

第017話 ふえぇ~

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「クッソ! しょうがねーな!」

 溺れた人をめがけてテレジアちゃんが水中を全速前進。
 さっきまで泳ぎが下手だったのに、すごい急成長だ。

「森育ちのエルフにプールで救助活動させてんじゃねーよ!!!」

 ブチギレながらもテレジアちゃんは、溺れた人を抱えて、プールサイドまで辿り着く。
 水から引き上げられた人の正体は、

「カッパじゃねーか!」

 テレジアちゃんはもう我慢ならないようだ。
 カッパをボコボコに殴り始めた。
 相手が瀕死だなんて関係ないみたい。

「なんでカッパが溺れてんだよ! お前が泳ぐの下手なら、逆に誰が泳ぐの上手いんだよ!!」
「落ち着いて、テレジアちゃん。おい、OKチョーケー、このカッパを手当てしてやってくれ。早く。殺されちまう」
「クソガッパ! 死ね!」

 OKチョーケーは治癒魔法の達人だ。
 植物を調合した薬を飲ませて、はい、あっと言う間にカッパくんは回復。
 意識を取り戻した彼は平身低頭。
 ウオコお嬢様にも、OKチョーケーにも、俺にも、

「ふえぇ~、すみませぇん、すみませぇん。うっかり足を滑らせてしまいましたぁ」
「私にも謝らんかい!」
「いだっ! ふえぇ~、なんでぼくがこんな目にぃ~」
「お前がカッパのくせに溺れてるからだろうが!」

 溺死しそうになった次に、撲殺の危機。
 散々なカッパくんを助けたのは、ウオコお嬢様だった。

「この子はわたくしの召し使いなのですが、とんだ出来損ないですわ。魚輪を主催する館に泳げない者がいるなど、恥でしかありませんもの。泳げるようになるまで食事抜きにしているというのに、やれやれ」

 もしかしてお腹が空いてるのでは?
 足元がふらついてプールに落下したのも、そのせいでは?

「ま、そんなことより、あなた達の実力は本物と認めざるを得ないようですわね。よろしい。我が魚輪の警護担当として認めてさしあげますわ」
「はっ。偉そうなやつだな」

 テレジアちゃんがぼそっと暴言を吐いた。

     *     *

「先程はどうもありがとうございましたぁ」

 カッパくんことミズッキーニは俺たちに館内の案内をしてくれた。

「ウオコお嬢様にいびられて大変そうだな。毎日あんな感じなのか?」
「はは……」
「言いづらいか」
「お嬢様は、政治家の娘さんですからねぇ。しかも魚輪には国王陛下もいらっしゃるので、逆らえる方はいませんよぉ。でも、誤解しないでくださいねぇ」
「?」
「お嬢様はあれでいいところもおありなんですぅ」

 故郷をドラゴン族に滅ぼされ、行くあてのないミズッキーニを引き取ってくれたのだとか。
 って、おいおい、

「お前もドラゴン族の被害者なのかよ」
「この国では珍しくないですよぉ」
「だったら話が早い。この近辺でドラゴン族を見たとか、噂を聞いたとか、何でもいい、やつらに関する情報をくれ」
「何でもぉ? 何でもいいなら、そもそもこのお屋敷自体がドラゴン……とかでもいいですかぁ?」
「……は?」
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