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第二章
46 騎士アルトゥールの苦悩(☆)
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ヒナリは口内に残るアルトゥールの味を唾液ごと飲み込むと、小首を傾げてみせた。
途端にアルトゥールがヒナリの視線を避けるようにうなだれる。
黙り込んだまま、ただ肩で息をしている。その反応の意図が読めず、ヒナリが下から顔を覗き込もうとすると、喉から絞り出すような声が聞こえてきた。
「申し訳ない……」
「え?」
「ヒナリ、今宵は優しくできそうにない……!」
次の瞬間、ヒナリは手首をさらわれてシーツの上に押し倒されていた。急な体勢の変化に頭がついていかずに唖然とする。
覆い被さってきたアルトゥールは、怒りの形相にも見える表情をしていた。
「覚悟してください、ヒナリ。ああもう、貴女をめちゃくちゃにしたくて気が狂いそうだ……! 騎士ともあろうものが、自らを律せれぬとは……!」
前回の丁寧さが嘘のように、足首をつかまれて強引に足を開かされる。
下着が奪い取られるやいなや、ヒナリの秘所に潤滑剤がぶちまけられた。
「冷たっ……――んうっ」
一切慣らされることなく欲望の切っ先をねじ込まれる。
その先端は一瞬にして最奥に届き、
「――きゃんっ!」
突然の強烈な快感に、ヒナリはすぐに達してしまった。
びくびくと体が震える中、アルトゥールが抜き差しを開始する。絶頂感が収まらぬうちから快楽をさらに叩き込まれる。
「待っ、てえっ、アルトゥール、私、イっちゃっ、たの……! 止まって、おねがい、止まってえ……!」
ヒナリの懇願は、興奮しきったアルトゥールには届かなかった。
汗で湿ったシーツの上に伏せさせられて、後ろからがつがつと貪られる。
「あっあっはうっ、はううう……」
脳まで貫く刺激を受け止めきれず、腰と爪先がびくびくと跳ねる。枕をきつく抱き締めて、嵐のような快感を必死に受け止める。
これ以上は無理と思った途端に今度は肌を密着させた状態で腰をゆらゆらと揺らし、奥をとんとんと小突き出した。
「はうう、はああ、はあああ……」
正気を失う一歩手前の夥しい快楽に、声と涙と唾液が一気に溢れ出す。
しばらくその動きが続いたかと思えばまたぱんぱんと肌を打ち慣らし始める。ヒナリの蜜壺の入口から奥までを満遍なく刺激し、その形を粘膜に憶えさせようとする。
「ああっ! はあっ、はあああっ……!」
挿入されてから一度として解放してもらえずにいる体が、幾度目かの絶頂を迎えた。
「ん……」
ヒナリがふと気が付くと、背中と後頭部にシーツの感触がした。いつの間にか仰向けにされていたらしい。
目の前に焦点を合わせると、汗だくになったアルトゥールがヒナリの両脚を抱えて夢中で腰を叩き付けていた。
絶え間なく送り込まれる快感に蝕まれる中、惚けた頭でぼんやりと考える。
(もしかして、私が気絶してる間も止まってくれなかったのかな……)
それを咎める気力も体力も、今のヒナリはもはや残っていなかった。
この後また数回気を失ったヒナリは、夜が明ける直前まで繋がりを解いてもらえなかったのだった。
◇◇◆◇◇
アルトゥールとヒナリの儀式がおこなわれた次の朝のこと。
朝食後にベルトランたち賢者が居間で思い思いにくつろいでいると、食堂に現れなかったアルトゥールがふらふらと部屋に入ってきた。
昨晩儀式を終えたばかりだというのに、その顔は絶望に染まっていた。
「私は賢者失格だ……」
悲痛な呟きに、三人の賢者が目を見合わせる。
「どうしたの、失格って。大事だね」
アルトゥールを隣に座らせたベルトランは、ずっとうつむいたままの仲間の肩をぽんと叩いた。
すると絶望一色に染まったアルトゥールが、賢者失格に至る理由をぽつりぽつりと語り出した。
話を聞き終わった一同は、しばらく絶句していた。
アルトゥールがヒナリにしてもらった行為を脳裏に描けばたちまち下半身が疼き出す。
ベルトランは詰めていた息を思い切り吐き出すと、ひとまず慰めの言葉を口にした。
「まあでもさ、そんなにすごいことをヒナリにされたら君がそこまで興奮するのも無理もないよ。とはいえ、ねえ……」
アルトゥールいわく『ヒナリが気絶したことに気付いても止まれなかった』と――行為が乱暴すぎるのではないかと先日指摘したばかりだというのに、それ以上の仕打ちを聖女にしでかしてしまったと告白されて、驚かずにはいられない。
「私の性欲減退薬が打ち負けるとは……まったく信じがたい」
頬を赤らめたクレイグが悔しげに呟く。
その隣で、すっかり不機嫌な顔付きに変わったダリオが目付きを鋭くした。
「なんというか……もはや君の儀式は監視員が必要とさえ思うよ」
◇◇◆◇◇
「みんな、おはよ……」
辛うじて午前中に起きられたヒナリが居間に行くと、賢者たちが皆深刻な顔をしていた。
その理由を問うより先に、アルトゥールが床に額を打ち付ける勢いで頭を下げる。
「ヒナリ、昨晩の私の蛮行、本当に申し訳ない。弁解の余地もない」
「ううん、私がヘンなことして煽っちゃったせいだし……」
「変なことだなんてとんでもない! 昨夜の貴女は最高だった、いや、昨夜の貴女も、だ!」
怒涛の主張にヒナリが目を丸くしていると、ダリオが眉根を寄せて溜め息をついた。
「ヒナリ、怒っていいよさすがに。君が気を失っているのにやめないのは横暴が過ぎる」
「うーん。ねえアルトゥール、次は本当に、私が気絶してても続けるというのはなしにしてね?」
「はい、その約束を破った日は、私が貴女にお目にかかる最後の日となりましょう……!」
涙目になったアルトゥールが再び低頭する。
ヒナリがソファーに腰を下ろすまでずっとその体勢で止まったあと、のろのろと顔を上げるやいなや苦悩の面持ちに変わり、頭を抱え込んだ。短い赤髪をつかんだ手に力がこもる。
「ああ、私はいつの間に、騎士の風上にも置けぬ痴れ者に成り下がってしまったのだろうか……!」
今にも泣き出しそうな声に、クレイグが落ち着いた口調で語り掛ける。
「それだけヒナリが魅力的ということでしょう」
「そうだよ、世界最強と称される君が陥落するなんて余程のことだよ。むしろ僕らの聖女様がそれほどの魅力の持ち主だなんて、誇らしいとさえと思うね」
ベルトランが温かな眼差しでアルトゥールを見つめる。
しかしすぐにはっとした顔付きに変わると、髪をなびかせながらヒナリに振り向いた。
「あ! ごめんねヒナリ。アルトゥールの愚行を肯定しているわけではないんだ。ただ、高潔で高邁な王国騎士の中でも取り分け清廉潔白と名高いアルトゥールが、まさかここまで欲望を制御できなくなるなんて、誰も予想だにできなかったってこと。もしこの話を誰にでも伝えていいとして、信じる人はひとりも居ないだろうね」
「そうなんだ……」
正直なところ、自身の胸を使って相手を刺激するというテクニックは、ヒナリにとっては口淫を回避する方法として――つまり身を守るために試した行為であり、それ以上の意味はなかった。途中から楽しくなってきたとはいえ。
それだけに、ここまで大事と捉えられてしまって面食らわずにはいられない。
(まあでも、それだけ喜んでくれたってことで良かった、のかな……?)
ヒナリは腰の重さを感じる中、がっくりと頭を垂れるアルトゥールを見守りつつ、目の前に用意された茶を口に含んだのだった。
◇◇◆◇◇
二回目の祈りの儀に向けての各賢者との儀式は一日置きにおこなっていたが、四人目となるダリオとの儀式は一日延期となった。
『クレイグの回復薬で元気になったから大丈夫』とヒナリが言っても、ダリオは頑なに延期の取り消しには応じてくれなかった。
それどころか『とにかくゆっくり休んで欲しい』と懇願されたヒナリは、少しでも怠さを感じたり眠くなったりしたら、すぐにベッドに横になることを心がけた。
そうして邸宅にこもりきりで過ごした結果、ダリオとの儀式に臨む夜には長い廊下を全速力で走れそうなくらいに体力を取り戻せたのだった。
透けたベビードールの上にガウンを羽織るというすっかり着慣れた格好をして、ダリオの部屋の扉をノックする。
すぐに応じてくれたダリオは部屋から一歩踏み出してヒナリとの距離を詰めると、ヒナリの唇をちゅっと軽く吸い上げた。
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