14 / 14
最終話
しおりを挟む
「お察しのとおり! これからまた主サマとセックスしちゃいまーす♪ 昨日は明け方まで抱き尽くさせてもらったけど、まだまだ俺のカタチを主サマの体に覚えさせられたとは言えないんでね。これから毎日毎晩、主サマにたっぷり愛情を注いで、たくさん気持ちよくなってもらって、ますます美貌に磨きが掛かる予定なんで♪ そうだなあ……ひと月くらいかな? 魔女さん、しばらく来なくていいからね」
「うう……やめてくださいよう、そういうこと言うの……」
テレシュナは、これ以上はないほどに顔が熱くなり、足元がふらついてしまった。途端に淫魔に腰を抱き寄せられる。服越しに伝わる体温に、ますます熱が上がっていく。
腰を撫でる卑猥な手付きにびくびくと震えあがっていると、開けっ放しの玄関ドアからドラヒポがぱたぱたと出て来た。
「おまえら! ご主人さまと淫魔さんが励んでる最中は、この家に近付くんじゃないぞー! おまえらに、ご主人さまの可愛い声は絶対に聞かせないんだからなー!」
「ぎゃああ!? ドラヒポちゃん!? なんてことを言うんですか!」
ドラヒポの今の発言はつまり、【家の外までテレシュナの最中の声が聞こえるかを確認しに出て、実際に聞こえてきた】ということを意味していた。
「いいねえ。もっと言ってやって小型ドラゴン君」
テレシュナの腰を抱く腕に力がこもり、今度は背後から両腕をテレシュナの腹に回してぎゅっと抱きついてきた。頭の上に顎を乗せ、軽く首を振って髪に顎をこすり付けてくる。
ふたりの使い魔に翻弄される。激しく動揺したテレシュナが目を回していると、高い所から泣き声のようなうなり声が聞こえてきた。
顔を真っ赤にしたハピニルは、碧眼に涙を浮かべていた。
「くううううう……! ハレンチ! ハレンチだわ! あんた、うぶなふりして好き者だったのね!?」
「いいや? 主サマはホントにうぶだったぜ? 恥じらう主サマには最高にそそられたなあ……」
「うう、もう本当に、勘弁してください……」
恥ずかしさのあまり、膝から崩れ落ちそうになる。
テレシュナがすっかり淫魔に体重を預けていると、ハピニルがぎゅっと目を閉じて金切り声を上げた。
「もういいわよ! 当分来てやらないんだからー!」
足をぶんぶんと振ってゴーレムの胸をかかとで蹴る。乱暴な合図を受けた石人形はその場でゆっくりと背中を向けると、またどしーん、どしーん……と足音を鳴らしながら歩き出した。
その頭には、ハピニルが抱きついている。ゴーレムはおもむろに腕をもたげると、慎重な手付きで主人の背中を撫で出した。
森の木々にゴーレムの後ろ姿が隠れたところで、テレシュナの頭に顎を置いていた淫魔が、髪に頬ずりしてきた。
「さてさて。邪魔者は去ったし。今日も励むとしますかね、主サマ♪」
「ほ、本当に、今すぐに始めるんですか? せめてご飯を食べてからの方がいいんじゃないですか?」
「あー、勝手に台所にあったもん食ったから大丈夫」
「じゃ、じゃあ、いったんシャワーを浴びて来ては?」
「もう浴びて来た。準備万端」
テレシュナの手が片方拾い上げられて、淫魔の髪に触れさせられる。そこは確かに湿り気を帯びていて、湯あみをしたばかりだということを示していた。
もう先延ばしさせる材料がない。テレシュナが素直に応じられずにいると、ドラヒポがぱたぱたと目の前にやってきた。
「観念しなよ、ご主人さま。相手はただの悪魔じゃなくて、淫魔さんなんだよ? ご主人さまは昨日の時点でいっぱいいっぱいだったみたいだけどさ。淫魔さんは、まだ本気じゃなかったかも知れないのに、今からそんなんじゃ先が思いやられるね」
「ご明察、小型ドラゴンくん。実は俺、まだぜーんぜん本気出してないんだよね。本気を出すのは充分に俺に慣れてもらうまで我慢するから、怖がらなくていいぜ、主サマ。ではでは~♪ 寝室へと参りましょう♪」
と言って、膝裏をさらわれてあっという間にお姫様抱っこされる。これからされることを思えば、途端に腹の底が疼き出す。
気持ちはついていけていないにもかかわらず、体は既に淫魔を求めてしまっている。そんな自分に気付いたテレシュナは、涙が浮かぶほどに顔が熱くなった。
「うう、本当に、お手柔らかに、お願いします……」
「任せとけって。一緒にたくさん気持ちよくなろうな、主サマ」
「ご主人さま、がんばれー!」
ドラヒポの無邪気な応援が、一層恥じらいを増幅させていった。
(これからどうなっちゃうんでしょう、私)
しっかりと体を支えてくれる頼もしい腕の上で、そっと目だけで淫魔を見上げる。上機嫌な使い魔はすぐに主人の視線に気付くと、テレシュナを見つめ返して幸せそうな笑みを浮かべた。
「なあ、主サマ。俺、あんたに呼び出せてもらえて良かったって、心の底から思ってる」
「そう、ですか」
「あんたにも、『淫魔リウミオスを召喚できて良かった』って思ってもらえるように頑張るから。期待しとけ」
「は、はい」
とっさに返事しながらも、テレシュナは、既にそう思っていた。
(ありがとうございます、淫魔リウミオスさん。もう私、眼鏡を掛けなくても、人様と向き合えそうです)
まだ声には出したことのない淫魔の名前を呼びながら、その首にすがりつく。熱い体をぎゅっと抱きしめる。
途端にぴたりと足を止めた淫魔の反応を気にせず、テレシュナは感謝の気持ちを込めて、そっと淫魔に頬ずりした。
その仕草は、淫魔に火をつけてしまったようで――。
『我慢する』などという宣言はどこへやら、このあとテレシュナは、淫魔の本気を思い知らされる羽目になったのだった。
〈了〉
「うう……やめてくださいよう、そういうこと言うの……」
テレシュナは、これ以上はないほどに顔が熱くなり、足元がふらついてしまった。途端に淫魔に腰を抱き寄せられる。服越しに伝わる体温に、ますます熱が上がっていく。
腰を撫でる卑猥な手付きにびくびくと震えあがっていると、開けっ放しの玄関ドアからドラヒポがぱたぱたと出て来た。
「おまえら! ご主人さまと淫魔さんが励んでる最中は、この家に近付くんじゃないぞー! おまえらに、ご主人さまの可愛い声は絶対に聞かせないんだからなー!」
「ぎゃああ!? ドラヒポちゃん!? なんてことを言うんですか!」
ドラヒポの今の発言はつまり、【家の外までテレシュナの最中の声が聞こえるかを確認しに出て、実際に聞こえてきた】ということを意味していた。
「いいねえ。もっと言ってやって小型ドラゴン君」
テレシュナの腰を抱く腕に力がこもり、今度は背後から両腕をテレシュナの腹に回してぎゅっと抱きついてきた。頭の上に顎を乗せ、軽く首を振って髪に顎をこすり付けてくる。
ふたりの使い魔に翻弄される。激しく動揺したテレシュナが目を回していると、高い所から泣き声のようなうなり声が聞こえてきた。
顔を真っ赤にしたハピニルは、碧眼に涙を浮かべていた。
「くううううう……! ハレンチ! ハレンチだわ! あんた、うぶなふりして好き者だったのね!?」
「いいや? 主サマはホントにうぶだったぜ? 恥じらう主サマには最高にそそられたなあ……」
「うう、もう本当に、勘弁してください……」
恥ずかしさのあまり、膝から崩れ落ちそうになる。
テレシュナがすっかり淫魔に体重を預けていると、ハピニルがぎゅっと目を閉じて金切り声を上げた。
「もういいわよ! 当分来てやらないんだからー!」
足をぶんぶんと振ってゴーレムの胸をかかとで蹴る。乱暴な合図を受けた石人形はその場でゆっくりと背中を向けると、またどしーん、どしーん……と足音を鳴らしながら歩き出した。
その頭には、ハピニルが抱きついている。ゴーレムはおもむろに腕をもたげると、慎重な手付きで主人の背中を撫で出した。
森の木々にゴーレムの後ろ姿が隠れたところで、テレシュナの頭に顎を置いていた淫魔が、髪に頬ずりしてきた。
「さてさて。邪魔者は去ったし。今日も励むとしますかね、主サマ♪」
「ほ、本当に、今すぐに始めるんですか? せめてご飯を食べてからの方がいいんじゃないですか?」
「あー、勝手に台所にあったもん食ったから大丈夫」
「じゃ、じゃあ、いったんシャワーを浴びて来ては?」
「もう浴びて来た。準備万端」
テレシュナの手が片方拾い上げられて、淫魔の髪に触れさせられる。そこは確かに湿り気を帯びていて、湯あみをしたばかりだということを示していた。
もう先延ばしさせる材料がない。テレシュナが素直に応じられずにいると、ドラヒポがぱたぱたと目の前にやってきた。
「観念しなよ、ご主人さま。相手はただの悪魔じゃなくて、淫魔さんなんだよ? ご主人さまは昨日の時点でいっぱいいっぱいだったみたいだけどさ。淫魔さんは、まだ本気じゃなかったかも知れないのに、今からそんなんじゃ先が思いやられるね」
「ご明察、小型ドラゴンくん。実は俺、まだぜーんぜん本気出してないんだよね。本気を出すのは充分に俺に慣れてもらうまで我慢するから、怖がらなくていいぜ、主サマ。ではでは~♪ 寝室へと参りましょう♪」
と言って、膝裏をさらわれてあっという間にお姫様抱っこされる。これからされることを思えば、途端に腹の底が疼き出す。
気持ちはついていけていないにもかかわらず、体は既に淫魔を求めてしまっている。そんな自分に気付いたテレシュナは、涙が浮かぶほどに顔が熱くなった。
「うう、本当に、お手柔らかに、お願いします……」
「任せとけって。一緒にたくさん気持ちよくなろうな、主サマ」
「ご主人さま、がんばれー!」
ドラヒポの無邪気な応援が、一層恥じらいを増幅させていった。
(これからどうなっちゃうんでしょう、私)
しっかりと体を支えてくれる頼もしい腕の上で、そっと目だけで淫魔を見上げる。上機嫌な使い魔はすぐに主人の視線に気付くと、テレシュナを見つめ返して幸せそうな笑みを浮かべた。
「なあ、主サマ。俺、あんたに呼び出せてもらえて良かったって、心の底から思ってる」
「そう、ですか」
「あんたにも、『淫魔リウミオスを召喚できて良かった』って思ってもらえるように頑張るから。期待しとけ」
「は、はい」
とっさに返事しながらも、テレシュナは、既にそう思っていた。
(ありがとうございます、淫魔リウミオスさん。もう私、眼鏡を掛けなくても、人様と向き合えそうです)
まだ声には出したことのない淫魔の名前を呼びながら、その首にすがりつく。熱い体をぎゅっと抱きしめる。
途端にぴたりと足を止めた淫魔の反応を気にせず、テレシュナは感謝の気持ちを込めて、そっと淫魔に頬ずりした。
その仕草は、淫魔に火をつけてしまったようで――。
『我慢する』などという宣言はどこへやら、このあとテレシュナは、淫魔の本気を思い知らされる羽目になったのだった。
〈了〉
24
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる