寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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とりあえず今日は迎賓館に滞在することになったのだが、客室とは思えなかった。
部屋は綺麗に整えられているが、私が好む調度品や花に日当たりも良かった。


「なんて綺麗なお部屋」

「お気に召していただけてようございました。教皇様が、急ぎ用意させたましたので」

「え?」

あらかじめ私が下賜されることを知っていたの?
そんなはずはない。

下賜することを決めても予め伝えることはない。
戦争が終結したのはつい最近の事だったし私が下賜されることをあらかじめ知るなんて。


「愚王が馬鹿で助かりました」

「はい?」

今何て言った?
リーチェが低い声で何か…


「金の亡者の愚王は領土やお金を差し出すはずはありませんもの。そうなれば妃を下賜するのは確実です。ですがあの色ボケ王は自分の愛人を差し出すはずはないので」

「それはつまり…最初から」

「はい。故にどこぞの阿婆擦れの自称聖女を下賜されるのは不愉快ですから」

「阿婆擦れ…」

「失礼を承知で申し上げます。あの自称聖女は数多の聖教皇国から認められておりません。そもそも聖女と名乗るなど論外…聖職者のトップは教皇です」

「それは…そうなのですが」

「それに、あれが聖女ならば大帝国の聖女様に失礼でしょう。まぁ、あの方はご自身から聖女と名乗ったつもりはないとおおせですが…聖女とは象徴でしかないのですから」


確かに宗教の国では聖女の考え方が違う。
聖職者のトップは教皇であるのに聖女の方が上だと考えるのは聖職者達への侮辱だ。


「リーチェは聖女が嫌いなのですか」

「私は別に聖女を否定する気はありません。ですが、勘違いして増長し、さも自分が聖職者のトップだという振る舞いが許せないのです」


「それは…」

「第一加護があるからといってもその力は女神様の物ですし。聖職者がこれまで神に仕え信仰していたからこそ女神様も答えてくださったにすぎません」


言っていることは正論だわ。
聖女に選ばれたからと言ってその人物は必ずしも信仰心があるわけではない。


信仰心がないことを悪いとは言わないけど。


「私は自分から聖女だと言う者こそ信用できません。もし本当の聖女様がいるならばアルセディア帝国の第女皇様のような方だと」


「アルセディアの女神と呼ばれる、ユスティア女皇陛下ですね」

「ええ、同じ聖女と名を並べる等論外です。ですが、もう一人聖女と慕われる方がおります」

「え?」


「もう一人?」

「はい、もう一人いらっしゃるんですよ。ですがそのお話はまた後程に…湯殿準備が整いましたので」


話はここで中断になった。


・・・のだけど。


「あの、一人で脱げます。一人で入れます」

「いいえ、なりません」

「教皇様からくれぐれもと仰せつかっておりますので」


何故か入浴するのに侍女を呼ばれ、しかも湯殿係や給仕係もいるとのことだ。


普通ないでしょ?
だって騎士の妻になる場合、そんなに使用人はいるの?


「失礼ながらこれまでご入浴は」

「アグナレス王国は入浴の習慣がないので水浴びを、水魔法で」

「まぁ、なんということですの」


だって私の我儘だし。
毎日入浴するのは野蛮だと言われても気持ち悪いし。

それに他の妃は香水をつけていたけど私はそんな物持ってない。
せめて清潔に保ちたかった。


「ですが、水浴びをしただけでお体がここまで清潔になるのでしょうか」

「それは私の水魔法の効果です。通常の水よりも清潔で、後は石鹸を使っていたので」

アグナレス王国では香りの強い石鹸が好まれる。
なんでも殿方を誘惑する効果があるとか、だけど私には必要ないと言われた。

だから祖国で作っている柑橘系の石鹸で体を洗った。
後は茶葉で作った石鹸にアロエを使ったものがあるのだ。

マリンパレスは小さな島国であるけど聖水が流れており、島の各地に温泉も湧いている。
故に三度も飯よりも風呂好きだった。

勿論お風呂だけでなく体を洗う石鹸も拘っており、シャンプーにリンスもだ。
日差しが強く肌が焼けないようにする為に調合師と薬草師が動力して開発したのだ。

ただし他所の国では作れない。
秘密のレシピだから。


まぁ、入浴をする習慣を野蛮だと思っている人からは興味もないだろうけど。


だけど、私は知らなかった。

「陶器のようなお肌…」

「マリンパレスの民は皆、こんなに肌がツルツルなのかしら」

「髪の毛だってサラサラで」


侍女達が見る目がどんなものかなんて気づかなかった。




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