寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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国境を越えて三日。
ようやくクラリス聖教皇国が見えた。


聖魔法で包まれた聖地と呼ばれていた。
虹の橋を渡り、その先にある神殿に到着すると数名の騎士が待機していた。



「お待ちしておりました」

「ルミナス様…」

教皇猊下のルミナス・ソルフェジオ様。
数多の聖教皇国の中でも強い権力を持ち聖職者でありながら各国の君主から礼を尽くされる人格者だ。


私も幼い頃に数回お会いしたことがあるだけで個人的なお付き合いはない。


なんせ雲の上の存在の人で教皇という職業は聖職者の頂点に立つ人で女神の代弁者といわれている。


「どうか顔をおあげくだされ、エリーゼ姫」

「猊下、私はもう姫ではございません。貴女様からすればただの身分のない娘です」


「貴女はマリンパレスの姫であることは変わりません」

「はい…」


数多の聖教皇国から一目置かれる存在。
あの大帝国からも敬意を持たれるほどの人格者というだけあってなんて寛大な方なのだろうか。


マリンパレスは歴史はあれど小さな島国だ。
他国の戦争に介入しない、また他民族を差別する事を良しとしない。

政治に関してもそうだった。
かつては精霊や獣人族という他種族の受け入れをしていたことから一部の国からは悪く思われていた。


中には未だに前時代的な国だと馬鹿にされて来た。
そんな国が焼け野原となれば更に馬鹿にする人間は増える一方で私はアグナレス王国で何度嫌味を言われたか。


それでも私は祖国を愛していた。
太陽の国と呼ばれた常夏の国は私の中でも色あせることがない。


「さぁ顔をお上げください」

「はい教皇様」


優しく手を握られた温もりに泣きそうになる。
クラリス聖教皇国の方達は温かい人ばかりで安堵する。


「アルバシア、お前は何をで木偶の坊のように立ち尽くしておるのだ」

「教皇様…しかし」

「はぁー…聖騎士としては申し分ないというのに。女性をエスコートできんとは」


教皇として顔と父親のような顔を持っておられるのね。
聞けば聖騎士の皆さんは生まれがクラリス聖教皇国ではないと聞く。


女神に見いだされた後に召し抱えられるので世界各地から集められるとか。


「しかし教皇様、私は…」

「まったく、お前はどうしてこうも融通が利かないんだ」

「そうだぞ、少しは緩くなれよ。つーかいい加減酒飲みてぇんだけど」

「マクシミリアン!貴様は緩すぎだ!この不良騎士が!」


なんというか、本当に父親のようだわ。
そしてマクシミリアン様は本当に崩し過ぎている気がする。


「長旅でお疲れになったでしょう。本日はゆっくりお休みください」

「ありがとうございます」

「リーチェ…」

「はい」

後ろに控えていた少女が膝をつく。

「この者は貴女の侍女です。神殿の巫女でもあります。今後一切の世話を命じております」

「え?神殿の巫女様を!」

クラリス神殿の巫女様を私の侍女にだなんていいのだろうか。
私は何の地位もない娘に過ぎないのに。

「不慣れなこともあるでしょう…というか、アルバシアは少しばかり朴念仁でして」

「はっ…はぁ」

「口下手でもあります。そして毒を身に宿す故に他者と距離を持っております。故にご苦労をおかけしますでしょうが…エリーゼ姫の寛大なお心で気長に接してやってください」

「はい…」

「恐らく色々言葉足らずでお一人では気を病むかと思い、私の弟子をつけさせていただきます」


そんなに大変なのかしら。
噂では物騒な名で呼ばれていたけど、あの時優しく声をかけてくださった。


「もしや、私に触れるのを拒まれたのは」

「あの馬鹿、またやりましたのね」

「え?」

可憐な巫女様が舌打ちをした。

「リーチェ」

「失礼しました」


即座に謝罪をしたけど、この感じは誰かに似ているような気がした。




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