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②
しおりを挟む切り替えをしなくては。
いなくなった人間を思っても仕方ない。
何よりエリーゼはもうこの国の人間ではない。
それにこの国の王妃はアラクネだ。
「陛下、どちらに」
「急ぎの問題がある。アラクネの元に向かう」
「お待ちください陛下!」
国民の心が離れているのは私の所為ではない。
聖女への尊敬の念が離れていることが原因のはずだ。
ならば、問題はアラクネにあるはずだ。
とにかく今は国民に聖女の存在を今一度見せつける必要がある。
王妃宮に向かうと侍女が驚いた表情をしていた。
「陛下、どうされたのですか」
「アラクネはいるな」
「はい…ですが、アラクネ様は今はお祈りの最中です」
「大事な用事だ。今すぐ祈りを中断させてくれ」
「ですが…」
国王は来たのだ。
本来なら祈りを中断して呼ぶのが当たり前なのに!
真面に仕事もできないのか!
「とにかく今すぐ呼べ!」
「申し訳ありません。王妃陛下は祈りの最中です。その間はどんな高貴な方でもお通しすることはできません」
「何だと!王命だ!」
今すぐにアラクネと話をしなくては。
聖女としての仕事を真面できず、王妃の執務もこなしていない。
「今すぐアラクネに合わせろ!」
「なりません。アラクネ様は今…」
「お前は侍女だろう!私の命令に逆らうというのか!」
どいつもこいつも真面に役目を果たすことができないのか。
「私はアラクネ様の侍女でございます。侯爵家からアラクネ様をお守りするようにと命じられております」
「だから何だ!妻の侍女ならな、夫である私の侍女だろう」
何を言っているのか意味が解らない。
王宮に努めている侍女ならば王の命令に従うのが当然だ。
「私は王だ!」
「例え王命であっても私の主はアラクネ様です。今アラクネ様は苦しいお立場にございます…なのに陛下は更に追い詰められるのですか」
「苦しい立場だと?身から出た錆だろ…聖女の役目を放棄し、王妃の役目も果たせずにいる癖に!」
「なんて事を…」
私は一日でどれだけのスケジュールをこなしていると思っているんだ。
それに引き換え王妃の仕事なんて大した仕事じゃない。
聖女の仕事だってただ何も考えずに祈ればいいだけ。
「祈っているだけで楽をしているくせに」
「なんて非道な…あんまりです!」
これ以上の言い合いは時間の無駄だ。
護衛騎士を連れて来るべきだったかと後悔した。
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