俺の婚約者は侯爵令嬢であって悪役令嬢じゃない!~お前等いい加減にしろよ!

ユウ

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序章.始まりの前奏曲

27.漆黒の貴公子



「何の騒ぎだ」


静かに現れたのは黒い髪に黒い瞳の綺麗な顔立ちをした俺と同い年くらいの少年だった。


「ベルンハルト様!」

執事が狼狽えるも、気に留めることなく事情を聞くと顔を顰める。

「馬鹿者!すぐにご案内しないか!」

「しかし…」

「お客様を追い返すなど言語道断だ!こちらの不手際だと言うのに追い返すとは!」


既に俺達が会場に入ることはできないようだし、ここで騒いでも仕方ない。

「申し訳ありません。こちら側も行き違いがあったようで」

「いえ、そのような…」

「ですが、もし我儘を聞いていただけるならば庭園を見させていただいてもよろしいでしょうか?」


会場に入るのは難しいが、彼はなんとかしようとしている。
でも、無理なのをごり押しするのは気の毒だし、こちらにも非があるのだから。


「お恥ずかしい話、私はこういった場所は初めてで緊張してしまって…できましたらお庭を案内していただけると嬉しいです。ここまで見事な薔薇を近くで拝見したいのです」

「それは構いませんが、本当によろしいのですか」

「はい、お母様」

俺は視線を向けると微笑んでくれた。


「母も薔薇が大好きなんです。ダメですか?」

「解りました…すぐに用意を」

「はっ、はい!」

執事は急いで去って行き、俺達は庭園に案内された。


「先程は申し訳ありません。私はベルンハルト・フェリスと申します」

「エリオル・ラスカルと申します」

手を差し出され俺も握手をする。
見るからに育ちの良さがにじみ出ているようだった。


「先程は執事が大変無礼をいたしました」

「いえ、どうかお気になさらずに」


先程のやり取りを気にされているようだ。
公爵家の身内か親戚の人かもしれないが、とてもいい人だな。


「しかし、この度はヴィオレッタ様と嫡男であるエリオル殿を招待したはずなのですが」

「あー…それは」

「何故か次男のマルス殿が来ていると言うのはおかしなものですね」


俺を見ながら告げる声はどこか刺々しい。


「それに本日のパーティーに第二夫人まで招待をしておりません」

「それはですね…」

「できましたら詳しくお教えくだいませんか?二度とこのような失態をしない為にも」

グイグイ来る子だな。
見た目は可愛いのに腹黒さを感じる。


「私は長男でありますが嫡男ではないので、そう言った理由が大きいかと」

「は?」

「我が家は次男が後継ぎと決定しておりますので…むご!」

「きゃあ!エリオル!」

いきなり胸倉を掴まれてしまう。


え?本当に何?


「貴様は馬鹿か」

「はい?」

「何をヘラヘラしているのだ!」


さっきまで穏やかで丁寧な口調だったのにいきなり乱暴になった。


「嫡男でありながら廃嫡されかけているというのに嘆かわしいわ!」

「ちょっ…本当に苦しい…」

一体何なんだ?
どうしてこんなに怒っているのだろうか。


「ベルンハルト!何をしているのだ!」

「殿下!」

はぁ?殿下?


「俺の世話係に何をしている!」


何でここにウィルフレッド様がいるんだ。

「今すぐ放さぬか、これは命令だ」

「ハッ!」


ああ、何が何だかさっぱり解らなかったがとりあえず水を貰って落ち着くことにした。

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