身代わりで鬼姑と鬼小姑の元に嫁ぎましたが幸せなので二度と帰りません!

ユウ

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第二章

43隠し部屋




石鹸を部屋に持ち帰り、私達はお風呂に入って体を温めた。


「よし、行くとしますか」

「はい!」


ランプも用意して私達は今夜決行する事にした。


「なんだかワクワクします。ダンジョンみたい」

「うん、何があるのかな…」


隠し扉の中に階段がある。


「ここは?」

地下室のようで中に入ると長い廊下が続いていた。


「何所まで続くのかしら」


歩きながらふと頭痛がした。


「うっ…」


「どうされました?」

「ううん、何でもない」


どうして?
知らないはずなのに私はここを知っている気がする。



まるで無意識に足が進んで行く。


「ここ…」

「鍵がかかっていますね」


私は扉にそっと触れる。
冷たい石でできた扉なのに温かみを感じる。


「マルガレーテ様?」


字が彫られている。


この文字は。



「この扉の開け方解る」


何故知っているのか解らない。
でもこの扉は仕掛けになっている。



「何を…」


扉を数回ノックすると、扉が動く音がする。



「開いた」

「中に」


足を踏み入れると中央に祭壇が置かれていて、親子の像が飾られている。


「この親子の像…似てます」

「え?」

「お母さんの顔がマルガレーテ様に」


「私に?」


そっと触れると字が書かれていた。


「―愛しい娘グレーテルへ…」


彫れている字を撫でる。


「これは何でしょうか?」

「小さなオルゴール…」


箱を開けると綺麗な音楽が奏でられる。


「なんて素敵な音楽。これ子供が生まれた時に最初に贈り物をする品ですね」

「え?」

「生まれた時」

私はずっとお母様に疎まれ憎まれて来た。

「オルゴールに何か入ってます」


「本当だ…っ!」


写真を見て私は驚く。

裏には字が書かれていた。


愛しい妻グレースと娘グレーテルへ。
思いを込めて。




どういう事?
グレース伯母様は私のお母様?


「そろそろ戻りましょう!皆さんが帰って来ます」


「うん…」


オルゴールを抱きしめて私はひとまずその部屋をることにした。




「マルガレーテ様…いえ、グレーテル様」

「何?」

「グレーテル様は肖像画の女性なんですか?」


「解らない。でも…私はこの家では厄介者で、物心つく頃から使用人として生きて来たわ」


優しく名前を呼ばれた記憶は微かにある。


とても小さい頃に一度だけ優しく呼ばれた。


でもその声はお母様じゃない。



「私は…私のお母様は」


グレース伯母様だった?



記憶の中で朧気であるけど手が。


声が。



残っている。



「私の本当のお母さん」



私は必要とされていなかったんじゃない。


オルゴールが証明してくれた。




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