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ガルセオ帝国。
ウィステリア王国と交流があり同盟国でもある。
「あら、ティナ様のお姉様かしら」
「はい!」
「妹が失礼を…」
顔を上げるのが恐ろしかった。
なんせ相手はガルセオ帝国の皇帝の伯母に当たる人物だった。
ガルセオ帝国は女性が国を治めていた。
中でも現皇帝はとても優秀で隙が無いと言われるぐらいだった。
「固くならないでください。もう私はこの通りただのお婆さんよ」
「そんな…滅相もございません」
穏やかな笑顔で聖母のように優し気な雰囲気を持ちながらも、皇帝の補佐をしているとの噂だった。
「シェリラ・クランベルと申します」
「リアとお呼び下さいな」
(気の所為かしら?)
笑顔で挨拶を交わすもリアにじっと見つめられる。
「あの…何か」
「いいえ、可愛らしい方」
「はい?」
微笑むリアだったが、とても好意的に見られて戸惑う。
(帝国の方は気難しいと聞いていたのだけど…)
リアの態度に戸惑いを感じながら作り笑顔を浮かべる。
「よろしければ私の相手をしてくださらない?」
「はっ…はい」
「喜んで!」
断るのは失礼だと思い断れなかったシェリラはその後一緒にお茶をするようになったのだ。
「ティナ様、先ほどの演奏は素晴らしかったですわ」
「ありがとうございますリア様!」
(演奏したの!)
相手は大帝国の皇族。
しかもガルセオ帝国は芸術の国としても有名だった。
皇族は音楽と芸術の神に愛された一族とも言われてるのだが、中でも深海の人魚姫伝われた皇女がいるのだ。
深海のリアンティーヌ・ガルセア。
音楽に関しては右に出る者はいないないと言われているのだ。
「そのお歳で素晴らしい演奏技術ですわ。何より素敵な表現力ね…余程優れた方なのかしら?」
シェリラは笑顔を浮かべながら、ティアの懇意にしている家庭教師の名前を出すと思っていたのだが。
「はい、姉に教わってますの」
「お姉様?」
姉と言われ、ヴィオレットだと思い込んだシェリラだったが…。
「はい、私の先生はシェリラお姉様です」
「はい?」
「まぁ、そうでしたの!」
(なっ…私?)
シェリラの名前が出されるなんて思わなかったので狼狽するも、ティナは更にとんでもない事を言い始める。
「姉は帝国の音楽に詳しく、他国の音楽にも関心があるんです!」
「ティナ!」
まずいと思った。
シェリラが他国の音楽に詳しいのは前世でお妃教育の一つとして音楽教師がガルセオ帝国出身の作曲家がいたからだ。
音楽も大事な外交の一つとなるのだが――。
「その若さでなんと!」
齢12歳で大帝国の言葉を理解し、音楽を学ぶ令嬢はいない。
王族でもありえないのだった。
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