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第二章
10.妹の願い~ローレンツside①
その夜、僕はシンシアに呼ばれた。
皇女宮ではなく皇族の別邸となっている宮殿だ。
隣にはディーノも一緒でお茶会をするとの事だった。
「どうぞお楽になさって」
「ああ」
「いや、この空気で楽にできるのか?」
空気があまり良くないのは解っている。
シンシアは笑っているが絶対的な威圧感を感じていたのだから。
「お兄様、アリアを娶る気はなくて?」
「ブー!」
「ちょっと、マナー違反ですわよ。だから貴方はディーノなのよ」
「名前は関係ないだろ!さりげなく失礼だな!」
相変わらず突拍子もない事を言うな。
僕も驚いたけど、顔には極力出さないように努めた。
「私は知ってますのよ?仮面舞踏会でアリアとダンスを踊り、しかも口説いていた事を。まぁ子口説くならもう少し強引になさればいいのに」
見ていたのか?
しかも聞いていた?
「何故」
「企業秘密ですわ。いくら健全な舞踏会でもアリアがいなくなれば探すに決まってますでしょ?私の影にも舞踏会に参加させてましたもの」
「そうか…」
なんと恐ろしいのか。
堂々とそんなことをやってのけ、悪びれることはないとは。
「それで?アリアを妻にする気はあって?」
「飛躍し過ぎだ!」
「あら?恋人なんて、その場限りでしかありませんわ」。夫婦になった方が確実ですわ。アリアは皇族の中でも稀有な存在よ?体も丈夫だし子供もたくさん産めますわ」
「子供…」
なんて事を言うんだ!
恥じらいという言葉はないのか!
「赤くならないでください。面倒ですわね」
「シンシア!言い方が…僕は…そんな」
「あら?アリアと結婚して、一生傍に置きたくありませんの?」
「それは…」
だからっていきなりすっ飛ばしてそれはないだろう?
順序というものがあるだろう?
「僕はアリアを愛している。彼女が欲しい」
「なっ…お前」
「今度の武道大会で優勝して、彼女に剣を捧げたいと思っているんだ」
今はまだ、他の男の婚約者であるから。
どうにかして彼女を開放する方法を考えなくてはならない。
その為に必要な手札を揃える為にも頭を使った。
「アリアを自由にするためには、どうしても必要な札がある」
「その為に必要なのは三つですわね」
「そうだ。レイモンド殿に別の主治医を紹介する。これは問題ない。既に手配済みだ」
「手配済みって…何時の間に!」
ディーノが知らないのも無理はない。
僕は隣国に留学している頃から、医学を学んでいた。
帝国以外にはそれなりに人脈はある。
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「レイモンド殿の病が治れば公爵家の状況が変わる。次にハント侯爵家と公爵家の縁を切る事だ」
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そして現在、社交界で問題を起こしているあの二人は自滅するだろう。
「そして最後は公の場で陛下の許可を頂く事だ。そのすべてが整った後にアリアに告白を…」
「遅すぎますわ!」
「え!」
全ての段取りを終えた後に、アリアと交流を深めて僕を好きになってもらおうと思ったのに。
何故か却下された。
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