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第三章
6.円形脱毛症~ディーノside
開会式が終わり一旦休憩所に向かった俺は薬を飲みに向かった。
胃が痛い。
頭もズキズキする。
「良し、顔を洗いに行くか」
一度顔を洗ってすっきりすべきだと思って水道場に行くと。
「へ?」
顔を洗い、タオルで顔を拭くと落ちたの物は。
「俺の毛ぇぇぇ!」
水場には俺の抜け落ちた毛が…。
まさか!
鏡で後ろ髪を見ると。
「円形脱毛症…そんな。あんまりだ」
もしかしてストレスか?
ストレスで髪の毛が抜け落ちているのか?
「おお、神よ。この哀れな俺に慈悲を…まだ結婚もしてないのに。俺は何か悪い事をしましたか?」
俺に安息の地はないのか?
近頃俺はストレスが多すぎるのではないか?
「せめてもう少し心穏やかに生きたいのに…ん?」
ふと視線の先には、随分とくたびれた男の背中が見えた。
(あれは…エイミールに?)
しばらく社交界で見ないと思ったが、かなり変わり果てたな。
まぁ、一度ならず二度目でも失態を犯しただけでなく、大事な舞踏会でとんでもない事をしてでかしたのだからな。
公爵家乗っ取りを宣言し、あまつさレイモンドに対する暴言を続けたのだから。
あの状況ならば社交界から爪はじきに合うだけではない。
親からも散々絞られたのだろう。
まぁ勘当されないだけまだいい方かもしれない。
自分より高位貴族の令嬢を嫁に貰う身であれば、普通なら不敬罪にされるだろう。
謹慎処分程度なんて甘っちょろいが、レイモンドも加減をしてくれたんだな。
「心配して損をした…」
少しだけ安堵して俺は戻ろうとしたが――。
「下等生物はそこで這いつくばっているがいい。ゴミ虫が」
(ん?)
肩が震えあがった。
この地を這うような声はレイモンド?
いやいや、そんなはずは。
「どうか、弁解をさせてください!アドリア―ナに取次ぎを」
「随分と勝手ですわね。そして厚かましい事?お嬢様に面会を許て欲しい?屑男が!」
「ぐっ!」
気のせいだ!
俺の見間違いに決まっている。
「何と無礼な…ぐ!」
「お前如きが、思い上がるなよ?」
ああ、また腹痛が。
胃腸が痛くて頭痛も酷くなって来た。
はらり…
抜け毛が!
(何でこうなるんだ?休憩の合間も俺は身内に悩まされるのか!)
視線の先ではレイモンドとリーナがエイミールをボコボコにしている。
見ていて気持ちのいいモノではないが、止めるか?と言われてたら答えは否だ。
エイミールを助ける義理はない。
そんなことをしたら明日の朝日は拝めないことは確実なのだから。
何より自業自得だ。
「よし、この場を立ち去ろう。うん、それが良い」
悪いなエイミール。
俺はお前の友人ですらないんだ。
大事な従妹を傷つけたお前を助ける義理はない。
そのまま成仏してくれ。
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