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第三章
7.逃げ場はない
開会式が終わり予選が行われた。
お兄様やローレンツにディーノは別のブロックだったけど、予選は楽勝だった。
「流石ですわね」
「気のせいか、レイモンド様の対戦相手は戦うわずして土下座していたけど」
「まぁ、無様な負け方をする前に試合放棄したのでしょう」
そう、疑問なのはこれだ。
ローレンツとディーノは普通に試合をしているのに対して、お兄様は微笑みながら何かを呟くと、対戦相手は泣きながら土下座して試合放棄をしていた。
一体どうしたと言うのかしら?
「アリア」
「ローレンツ。お疲れ様です」
「ウォーミングアップだから問題ないよ」
汗一つ流さず流れる様な動きで相手の動きを封じる剣術は見ていて見惚れる。
「君が僕を見てくれているから、無様な負け方はできないよ」
「え!」
「これが正式な婚約者だったら試合の後に君を抱きしめられるんだけど」
「だきっ…!」
どうしてこうもポンポンと恥ずかしげもなく言えるのかしら。
「レクシー。今すぐ冷たい氷を…暑くて仕方ありませんわ」
「冷水でも撒きましょうか?温度が上がり過ぎていますわ」
「無理でしょ?その次元じゃないわ…何が正式な婚約者よ…既に婚約者通り越して新婚夫婦じゃない。暑苦しいわ!」
「オディール。僻むのはどうかと思うわ」
後ろでシシィ様や侍女の皆がヒソヒソ言ってるけど、思いっきり聞こえている。
「ローレンツ場所を…」
「これでも遠慮しているんだけど」
何所がだ!
思いっきり場所もお構いなしじゃない!
人目を気にしなさすぎるもどうかと思うのだけど。
「お兄様、優勝しなかったら笑い者ですわ」
「誰に行っているんだ?勿論優勝してアリアを攫う」
「そうですか?期待を裏切らないでくださいね?でなければ私は嘘つきになってしまいますわ。社交界には既に自慢して回っている私の立場が御座いますのよ?」
「自慢?あの…」
ものすごく嫌な予感がするのだけど。
「サーベル夫人に言いふらしてしまいましたのよ?春先には二人は正式な夫婦になると」
「はい?」
「今まで女性から逃げ回っていたお兄様は女性に興味がないと心配されてましたので、しっかり伝えましたわ。既に将来を誓い結婚の約束をした女性がいると」
「シシィ様…」
まだ正式に婚約もしてないし、陛下の許可ももらってないのになんて気の早い事。
いや、そうじゃないわ。
「母上がやたらと機嫌が良かったのはその為か」
「お相手がセレンティア公爵家の姫君と伝えましたら、喜ばれましたわ」
「だろうな…」
ああ、穴があったら入りたい。
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