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第二章.新たな婚約
8.末っ子の逆襲
しおりを挟む学園ではマリアナ姉様の悪い噂で持ちきりだった。
社交界でも悪女説が流れていたが、全てうそではないのでどうしようもない。
私はというと、お姉様のお見舞いと、実家の往復をしている。
まぁ、ほとんど実家にはいないから荷物の整理をしているようなものだけど。
「ベアトリス、お帰りなさい」
「ただいま、直ぐに出るわ」
「え?」
「最後の荷物を纏めて終わりだから」
後には引っ越しの手伝いに来てもらった人を邸に案内する。
「これで全部でしょうか」
「はい、全部です。よろしくお願いします」
「かしこまりました」
さっさと荷物を馬車に積んで、私は身、一つで出て行く。
「ベアトリス、どういうこと?」
「予定よりも早く家を出ることになったの。でも、少し早くなっただけだし」
「実家を出るの!」
まったく人の話を聞いていないわね。
「前々から言っていたでしょ?私の後見人を務めてくださる侯爵様が実家を出る様にと…邸も購入したし大丈夫よ。これからは一人でやって行くわ」
「どういうこと?」
「マリアナ姉様、私は独立するって言ってたわよね?何度も、何度も…でも、所詮は子供の戯言だって馬鹿にしたわね」
「それは…ベアトリスの為に」
何が私の為よ。
最初から聞く気もなかった癖に。
「オリヴィアお姉様はちゃんと聞いてくれたし、不動産も一緒に見に行ってくれたわ」
「なっ…」
「お父様も、お母様も私なんてどうでもいいんでしょ?だから興味ないのよ…この家で私をちゃんと見てくれたのはお姉様よ」
「そんな!」
泣きそうな顔をして私を見るお母様に、お母様の肩を抱くお父様。
「そうやって被害者を他所って泣いて相手を責める。本当にマリアナ姉様と同じ…私はずっとこの家を出たかった。こんなの家族じゃないわ!」
「ベアトリス!」
「一度だって私に振り返ったことはある?私が死にかけた時、何もしてれなかった…助けてくれたのはお姉様。守ってくれたのもお姉様、育ててくれたのも、夢を応援してくれたのお姉様!お姉様のいない伯爵家なんて消えちゃえばいいのよ」
「なんてことを」
「泣けば済むなんて思わないで」
お姉様はずっと耐え続けて来たんだから。
「許さないから」
「え…」
「お姉様を傷つけたアンタを許さない。死んでも許さないわ」
ここで手を出さない。
こいつ等には最高の舞台で踊ってもらうわ。
「私は子爵を賜るの…その意味解っていて?マリアナ」
「なっ!」
「爵位もなく、婚約破棄をされてたアンタとは違うのよ。でも、ブライトンがいるわね…良かったわね?阿婆擦れでも貰ってくれるわ」
「この…」
我慢できなくなって手を上げようとするが、障壁が私を守る。
「きゃあ!」
「馬鹿じゃないの?魔力が強い私に攻撃できるわけないでしょ?残りかす程度の魔力しかない癖に」
「そんな…」
魔力が少しあるだけで使い方も知らない馬鹿な人。
あの時お姉様が結界を敷かなかったらどうなっていたか。
まぁ、馬鹿には理解できないわね。
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