令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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全ての終わり

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男達が距離を詰めようとした時だった。


風が吹き襲い掛かろうとした男達は壁に叩きつけられた。


「レオンハルト様!!」


その場に現れたレオンハルトは剣を持ち冷たい視線を送っていた。


「どうして…ひぃ!」

ルクレチアに剣を向ける。

その表情は冷たく恐ろしいものだった。



地面を見ると魔法陣が描かれている。

「どうやってここが!!」

「アレーシャが居場所を教えてくれたおかげで場所が解った」

「なんですって!!」

ルクレチアはアレーシャを睨む。


「この塔は結界を敷かれていますが塔自体の結界を内から解くのは容易ですわ。ただ居場所を伝えるのは難しかったのですが…窓から王族の飛行部隊が見えましたので」


窓を見た時に空を飛んでいた鳶。
彼等は王族の飛行部隊だった。


「そういうことですよ。クルエラ様」

「王弟殿下!」

現れたエンディミオンは外にいた見張りを担いで現れる。


「馬鹿な!!外には多くの見張りがいたはず!」

「彼等なら寝てますよ」


「案外弱かったですわ」


ボキボキと関節を鳴らすユリアが笑みを浮かべる。


「ユリアは武術に心得があってね…見張りは既に拘束されてますよ」


意識を失ったのは不覚だったが薬をかがされた後直ぐに目覚めたユリアはその後対応が早かった。

「この薬には覚えがありましたから」

「流石に塔の結界を解くのは難しいから、内からアレーシャに解いてもらったんだ」


「まさか!」


アレーシャは最初から結界を解くために時間稼ぎをしていた。


「大公殿下の婚約者を拉致監禁及び、暴行未遂をした罪を問わせていただきますよ」

「アレーシャ嬢を攫ったのはこの二人よ!私は助けようと!!」


クルエラは咄嗟に嘘をつく。

一同は冷めた目で見る。
こんな状況でよく見え透いた嘘をつけるのだが、実際男に襲わせていたのはルクレチアなのだ。


ただ現場を見ただけならばだが。


「貴女が使った薬ですが、強力な麻薬で裏オークションでしか手に入りません。その出どころも見つけましたし。その証拠もあります」


「私がアレーシャ嬢を誘拐した証拠はないわ」

「話は牢屋で聞きますよ。捕らえろ!」

エンディミオンが命令を出すと近衛騎士がルクレチアとカテリーナを拘束する。


「ちょっと離してよ!!」

「アレーシャ!!」


カテリーナは拘束され暴れるが抑え込まれルクレチアはアレーシャを睨みつけるも。


「残念です叔母様」


こうなった以上もう助ける手立てはない。


「私達どうなるのよ!ねぇお母様!」

カテリーナは隣でぎゃあぎゃあ叫んでいたたが茫然とする。


「‥‥もう終りね」


「終わりって何よ!!」

フッと笑みを浮かべるルクレチアは全てが終わったと悟る。


「許そうと思いました。でもそれもできなくなりました」

アレーシャは悲しそうに見つめる。


「お覚悟を。王族を誘拐し殺人未遂暴行未遂の刑は重いですので」

「そんな…いやよ!!いやぁぁぁ!!」


近衛騎士に連れて行かれるカテリーナは叫び続け。


「クルエラ様、弁解は後ほどお伺いします」

「くっ…」


こうして三人は捕らえられ、事件は幕を下ろした。


犯行をもくろんだクルエラは打ち首となり。
ルクレチアとカテリーナも居敬となり死刑を言い渡される形になった。


クルエラの息子エドヴァルトはまだ幼いので、死刑は免れたが平民として監視の目がつきながらも生きながらえることが許されたのだった。




「アレーシャ、綺麗だぞ」

「はい、お父様」


一ヶ月後、結婚式が行われ。
結婚式は小さな神殿で王族や近しい人達にい守られた。


後にある語り部はこう話していた。
アレンゼル王国英雄と大公妃は国の切り札となり王妃の穴を埋め。

国の発展に尽力し、様々な改革を行い。
女性が生きやすい時代になるように力を注ぎ続け、二人が幸せだったかどうかは誰にも解らない。


ただ大公妃が常に子供達に言い聞かせていた言葉がある。


「優しさを忘れないように」


他者を愛しみ思いやる心さえあれば必ず幸せになれる。


その言葉は長い歴史の中刻み込まれているに違いないと語り部は行っていた。


         END

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