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第三章栄華が終わる時
2.老執事
しおりを挟む顧問弁護士にも見捨てられたグフタスだったが、彼の不幸はまだまだ続いていた。
ランフォード侯爵家を長らく支えて来てくれた執事長までも退職願を出した。
「待て!お前まで出て行かれたら!」
「長らく、お世話になりました。私の主は旦那様とアーデルハイドお嬢様でございます」
「ならば…」
旦那様という言葉にグフタスは勘違いしている。
執事長のヴィエラが旦那様と慕うのは一人だけだった。
「私の旦那様はレイジ様です。貴方ではありません」
「なっ!」
「旦那様が貴族でなくなるのであれば、私も従うまでです」
侯爵家に忠誠を誓っていたヴィエラは、グフタスに代わり領地を守って来た。
領地だけでなく侯爵家の支えとなり、これまでランフォード家の事業を支えて来たが、アーデルハイドが追いやられるようになってからはアイシャが度々ヴィエラに理不尽な扱いをした。
それだけでなく。
「アイシャ様にも私は必要ない。老執事は無能だと言われました」
「なんだと」
「確かに私は無能でした。大切なお嬢様を守りできなかったのですから…ですから辞めさせていただきます」
愕然とするグフタスに追い打ちをかけるように、書類を見せる。
「アイシャ様より解雇通知書を渡されました。ちゃんと印鑑も押されておりますので、手続きはすべて終わっております」
「なっ…勝手な!」
「これは不当な解雇となりますので、後に裁判で提出させていただきますので…それから私が連れて来た使用人も私が責任を持ちますのでご心配なく」
「なんだと!」
この侯爵家にはヴィエラが推薦して採用した使用人が数名いる。
数年前までは倍の人数がいたが、アイシャが勝手に解雇したのだった。
残った使用人はヴィエラが庇ったので解雇されずに済んだが、アイシャやマイラから不当な扱いを受け。
現在優遇されている使用人はアイシャのご機嫌取りをするだけで、侯爵家の使用人としては相応しくない者が多かった。
古参の侍女や料理長に庭師や従者を連れて行かれたらどうなるか目に見えていた。
侯爵家は回らなくなるのだから。
「待て…考え直せ!」
「グフタス様、貴方は私の大切なお嬢様を追いやった。私の妻が心から慈しまれたナンシー様の形見をズタズタにしたのです。それだけではなく長らく続いたランフォード家に土足で踏み荒らし、破滅させたのです。二度と貴方を許しません」
穏やかだったヴィエラの表情は燃えるような瞳だった。
その表情にグフタスは怯えた。
「これから、冤罪となったお事実を突きつけられるでしょう。既に真実は明るみになっていますし…予定していた調査はとある方の助言で早く終わりましょう」
「どういうことだ」
裏付けをした後に、裁判を行う形になるので時間がかかり、裁判も前半と後半に分けて一年を要する事もあるがのに早すぎると思った。
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