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第三章栄華が終わる時
23.没落の果て
しおりを挟む爵位を奪われ平民となったアイシャは両親と共に貴族街からも追い出されることになった。
通常平民は貴族街に入ることは叶わない。
下町から貴族街に入るための門には門番がおり、許可がなければ勝手に入ることはできない決まりだった。
アイシャ達が住まう場所は町から少し離れた場所にある邸で平民が暮らすよりは広い、下級貴族が住まう邸だった。
質素な邸であるが四人で暮らすには十分な広さがあるが、使用人を雇う余裕もなく。
爵位を無くしたグフタスは仕事に行くこともなく酒と女に溺れる暮らしを繰り返しながら、邸に娼婦を連れ込む日々が続いていた。
毎日のように両親の喧嘩が続き、酷い時はアイシャの事で喧嘩する始末だった。
「いい加減にしてちょうだい!仕事もしないで毎日女を連れ込んで!」
「女を連れ込んで何が悪いんだ!貴族が愛人を持っているのは当然だ。お前の時のようにな!」
「もう貴族じゃない癖に!」
「うるさい!」
新しく仕事に就こうにも、残った金銭で商売を始めようにも上手く行かず。
ギルドマスターに睨まれてしまったことで、真面な商人は近づくこともあかったので、詐欺にお金をだまし取られてしまった。
その所為でギルビット家が残してくれたお金もほとんどなかった。
そのお金も、ギャンブルや酒につぎ込まれてしまい、アイシャもマイラも真面な食事にありつくことができなかった。
「モーギュスト様!実家にお金を貸してもらえるように言ってください」
「無理だ。勘当されているんだぞ」
「家族でしょ?困っているなら助けるのが当然よ」
どの口を言うのか。
その家族を国外追放にまで追いやった張本人が良く言えたものだとモーギュストは思ったが黙っているのが賢明だと思った。
モーギュストはアイシャと結婚してから口数が少なくなり、一人部屋に閉じこもることが多くなった。
「何処に行くんですの!」
「部屋に戻る」
八つ当たりされるのもうんざりしながらも、帰る場所はないモーギュストは部屋にこもった。
「こんな生活…耐えられない」
両親が罵倒を繰り返す中、己の不幸を嘆く。
「どうして…お姉様の所為よ」
ここにいないアーデルハイドを憎みながらすべての元凶はあの女だと思い込む。
「そうよ…お姉様が全部悪いのよ。お姉様の所為で私はこんな不幸になっているんだから!」
独り言をブツブツ言いながら、学園での噂を思い出す。
「私がこんなに不幸なんだから…お姉様はもっと不幸でないと…平民になって島流しになったお姉様はきっと貧乏な暮らしをしているはずよ」
貴族が平民として生きていけるわけがない。
しかも頼れる人もいない隣国では息を潜めて生きているはずだと思い込んだ。
「そうよ…お姉様に会いに行って連れ戻せばいいんだわ!そうすれば貴族に戻れるわ」
こんな真面目な生活は自分にふさわしくない。
貴族として贅沢な暮らしをして、面倒な事をアーデルハイドに押し付ければいい。
これまでのように。
モーギュストだってアーデルハイドと寄りを戻したいはずだと思ったアイシャは直ぐに部屋を出て行く。
そしてアーデルハイドに会いに行く決断をするのだった。
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