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第一章逆行した世界
2.姉との再会
部屋に現れたのは姉のサングリアだった。
「おかえりなさいマリー」
「お姉様…」
最期に見た時の壊れた姉と違い、まだ元気だったころの姿を見て安堵する。
幼さを残しながらも美姫と社交界で謳われる姉はこの頃から存在感があると思った。
所作の一つ、一つが美しくお淑やかだと思いながらため息をつく。
「マリー、やはり私は反対だ」
「お祖父様」
「長女であるお前ではなく次女のマリーが殿下の婚約者になるのはリスクが大きすぎる。何より周りはどう思うか」
マリーがサングリアに似とれている最中、ジョットは顔を顰めながら今回のことを認められないと告げた。
「お祖父様、マリーも公爵の血を引いておりますわ。長女だからとか次女だからとかは関係ありませんわ」
「だが、長女を押しのけ次女が候補になったとなればあらぬ疑いを持つ。お前だって最初は婚約を喜んでいたのではないのか?」
婚約する前からサングリアは第一王子のアレクシスを慕っていたはずだ。
なのに、どうして今更婚約を嫌がったのだろうか?
「王家に嫁ぐ条件はマリーもあるはずですし…今後、貴族派達の力を抑え込むためにも公爵家の力を盤石なモノにしたいと甥持っております」
「お姉様?」
「サングリア、それは…」
お姉様の言っている意味を私は理解して唖然とする。
我が家には男児がいないので、後継ぎの婿養子を次期公爵に据え置くことも視野に入れていた。
実際私の婚約者に選ばれた彼は公では次期公爵として教育されていて、私は補佐になるつもりだったのだから。
「公爵家は私が継ぎます。チャールズ様を次期公爵にせずあくまで入り婿とし迎え、私の補佐に回っていただきます」
「サングリア‥お前」
「マリーが王太子妃となった後に、後ろ盾に私がなります。そうすれば軽んじることはできませんわ」
まだ10歳にも満たない娘が既に政治を語っいていることに一同は驚く。
「サングリア‥貴女は何と聡明な」
「考えが及ばなかったよ」
両親二人は驚きを隠せないでいたが、ここまで思慮深いことを喜んだ。
しかし、ジョットだけは違った。
「チャールズを次期公爵にすべきではないと申すか」
「はい、すべては公爵家の為です」
サングリアの言い分は公爵家の今後を考えれば正論だった。
後の王太子妃の後ろ盾に公爵家が地盤を固めれば安泰かもしれないが、ジョットは手放しに喜べないでいた。
「お義父様…」
「解った」
「お祖父様!」
サングリアの目が輝き、ジョットに笑みを浮かべる。
「ただし、あくまで仮だ。マリーの婚約もだ…お前が次期公爵家を引っ張っていくだけの素質、そして領民からの信頼を勝ち取り、チャールズを認めさせるろ。そうすれば公爵家はお前に譲ろう」
「ありがとうございますお祖父様!」
未だにジョットは納得していない表情であるが、とりあえず仮ということにして話は落ち着いた。
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