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第二章もう一つのルート

14.裏話

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王妃の体調が安定し、今では歩く練習をするまで回復した。
離宮で療養しているのは変わらずだが、毎日のように通うアスランの姿を目撃した貴族達はさらなる噂を広めた。


王女殿下がの病気が治ったと。


その噂は王宮に留まらず国内に広がりつつあり、国民も喜んだ。

何より、両陛下の夫婦愛によるものではと、噂が流れた。

貴族社会では愛人を持つのが常識だったが、不貞を働かない二人を神は見捨てなかったのだと教会側が熱弁したことにより、他国にも二人の美談が知れ渡る事となった。




嬉しい事ばかりのはずだったが…


「どうしましょう」

「どうしました?リリアンヌ…マリーの無礼は許されたのに」


邸内で頭を抱えるリリアンヌ。
事後報告であるが、王太子殿下の胸ぐらを掴み頭突きをお見舞いしたことを後から伝えられた時は、気を失いかけたが、罪は問われなかった。


王妃を救うためにあえて厳しい言葉を投げかけたことは側にいる者が誰も知っていたのだから。

逆に、覚悟を持って行動した勇気ある行動に感銘を受ける者の方が良かったのだが、問題そこではない。


「先程、ウィリッド公爵夫人よりお手紙が」

「は?」

「何でもこの度の功績を讃え、勲章を与えたいとか…邸にも招きたいと」

「ウィリッド公爵夫人…まさか、王室の血筋を引いているあの方ですか!」


先代国王には王子はいなかったが、王女がいた。
その中でも、血筋が良かった王女は同盟の為に西の帝国に嫁いだのだった。


「何で‥そんな偉大な方が」

「何でも、王妃殿下の事をずっと心配して気に病んでいたそうなのですが、今回の事を聞いて」


震えながら手紙を見るコレットはさらに怯えた。

「直筆…ああ!どうしましょう」

「断れるわけありませんわ!立場上…なんてこと!」


粗相をすれば今度は国同士の問題になる。
とは言え、まだ成人していない娘を他国に連れて行くのは難しい。


「何か理由をつけてお断りを…」

「無理ですわ。近いうちに王妃殿下のお見舞いに来ると書いてあります」

他国に行くのを断っても、祖国に来るのであれば合わないわけには行かない。

指名されているのだから。


「一難去ってまた一難」

「何故こうもトラブルが重なるのです」

「ああ、心臓が…」

「私も頭痛が」


常にトラブルを呼ぶマリーに二人は頭を悩ませるのだが、その本人はというと。




「さぁ、マリー。沢山お食べなさい」

「苺のケーキ…」

離宮にて、王妃とお茶を楽しんでいた。


「貴女の為に作らせたのです。遠慮はいりません」

「はい‥いただきます」


後からマリーが王太子妃候補だと知らされ、頻繁に離宮に呼ぶようになった。

現在は離宮にマリーの部屋を用意するまで溺愛していた。

その様子を見た侍女は喜び、さらに噂が流れ、王太子妃候補から正式な婚約者なったのだった。


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