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第三章悪役令嬢の道
6.白い薔薇
しおりを挟む二人に手を引かれ薔薇園に誘われるマリー。
「この薔薇をご覧になって」
「あれ?この薔薇だけ白いわ」
「薔薇と言えば深紅と言われていますが、私は白い薔薇が一番好きですの」
薔薇に触れる仕草も美しかったジョアンナはまさしく淑女の鑑であり、悪役令嬢の教本に出てくる悪役令嬢に通じる部分がある。
「私は貴女を見た時、この白い薔薇のようだと思っていましてよ」
「え?私が?」
これまで薔薇とは一番遠い存在と思っていたマリーはきょとんとする。
「あら、ジョアンナ。私は白百合がお似合いだと思っていてよ」
「まぁ、百合も捨てがたいですわ」
二人は穏やかにほほ見ながら席に着く。
すぐにジョアンナはベルを鳴らし、使用人を呼ぶと。
「へ?」
数秒で数名の侍女が現れ、カーゴを押してきた。
「後はいいわ。また呼ぶから」
「かしこまりました」
風のように現れ風のように去って行く。
「さぁ、お茶会と行きましょう」
「遠慮なさらないで。王家御用達のローズベーカリーのケーキですわ」
「ローズベーカリー…」
マリーも名前だけは知っている。
王族御用達のパティシエが独立して店を立ち上げ作ったケーキ。
見た目はもちろん味も最高に美味しく、死ぬ前に一度は食べてみたかった。
「でっ…でも」
「貴女が食べてくださらなかったら、このケーキは腐ってゴミ箱ですわ」
「ごっ…ゴミ箱!」
領地では食べる者を粗末しないようにと叩きこまれてきたので食べずに捨てるなんて行為は許せない。
「いっ…いただきます」
「ええ、沢山召し上げってくださいませ」
目を輝かせながらケーキを食べるマリーを見つめながら癒しを感じるジョアンナ。
「貴女のそんな顔を見るのは久しぶりですわね」
「お婆様…」
「氷の女帝の顔が剥がれていましてよ」
ケーキを堪能するマリーは気づいていない。
二人がどんな会話をしているか。
それを見越してグレイスはジョアンナに話しかけていた。
「私は好きで氷の女帝になったのではありませんわ」
「ええ、周りの環境と、殿下をお守りする為と解ってましてよ」
社交界で氷の女帝と呼ばれるジョアンナだが、まだ幼い少女であることは変わりない。
だが、周りが許さなかった。
生まれた時か厳しい教育を受け、弱みを見せないように徹底して教育される内に完璧な令嬢として社交界で評価されるようになっても、この異名には悪意も込められていた。
子供らしくなく氷のように冷たい女。
感情もなく人形のようだと。
敵対する派閥からはアイスドール等と呼ばれていた。
「私は人形ではありませんわ」
「知ってます」
「貴族達の都合のいい存在でもありません」
「ええ…
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他の婚約者候補とも深く関わろうともしなかった。
「私は当初、マリー様が気の毒に思ってましたの」
「姉君の件で?」
「ええ…」
サンチェスト家のお家事情は耳にしていた。
「婚約者に選ばれてしばらくして、サングリア様は婚約者候補を辞退なさいましたわ」
ジョアンナが顔を顰めながら不愉快そうに告げたのはサングリアの事だった。
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