今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第三章悪役令嬢の道

25.父の帰還

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長旅を終えて、壱台の馬車が到着する。

「貴方、お帰りなさいませ」

「ただいま、長らく邸を留守にしていた悪かったね」

「いいえ」


サンチェスト公爵家の当主、ユーレン・サンチェスト。


「お父様!お帰りなさい」

「マリー!」


階段をドタバタ駆け下りて来るマリーにリリアンヌは疲れた表情をする。


「留守にして悪かったね」

「大丈夫です。お父様」


ユーレンは慣れない王都暮らしをさせて、傍に入れないことを詫びたが、主に外交を行うサンチェスト公爵家は多忙だった。

しかも時期が悪く、中々王都に戻れなかったのだ。


「おや?お客様かな?」

「ご機嫌麗しゅうございます。公爵様。セシリア・キャメロンでございます」

「お目にかかれて光栄でございます。ロザリア・スペンサーと申します」


マリーとは月とスッポンの挨拶を交わす二人の令嬢に一瞬だけ驚くが優しい笑顔を浮かべる。

「ようこそ我が家へ。少々変わった娘であるけど、どうか仲良くしてあげておくれ」

「はい」

「喜んで」





派閥関係はあれど、ユーレンは穏やかな性格だった。
大人のいがみ合いに子供を巻き込むことを良しとしない人格者でもあったので、娘の友人を快く歓迎した。

***


挨拶を終え一度その場を後にした二人は気を利かせた、ユーレンはマリーを抱き上げながらダイニングに向かった。



「マリーは最近ロマンス小説を好むと聞いたので買って来たんだ。隣国のロマンス小説全集だ」

「お兄様…」

「いやぁ、私も気になって少し読んだが刺激的だなぁ!」

この娘にしてこの親。
実の所、放蕩な性格は父親譲りなのでは?と思う今日この頃だった。



「うわぁ、素敵。お父様大好き!」

「ははっ…私もだよ。本当にすまないね…君を王都に呼び出すことになって」

マリーを抱き上げながら申し訳なさそうにしていた。

「実は、王都に戻るのが遅くなったのは、領地に寄っていたんだ」

「そうなんですか?」

「ああ、君の事もだが、チャーリーの事も心配でね」


ユーレンは手紙ではマリーが元気にしていると聞いていたので安堵していたが同時にチャールズの事が心配だった。


「君達は仲睦まじかっただろ?僕としては二人が夫婦になって欲しかったんだ。チャーリーは優秀だし、マリーを理解してくれていたし…表向きは君が跡継ぎだとしてもそれなりの地位を与えるつもりだったんだ」

「はい…」

「今回の入れ替えは、我が家にとっても大事件でね。特にチャーリーには申し訳ないことをしたと思っている」


「お兄様…」

ここまで息子の事を気にかけてくれていたのかと思うと胸が一ぱいになる。

「サングリアの領地代行の事も思うところがあってね…けれど、チャーリーは本当に良くやってくれているんだ」

「チャーリーは優しくて誠実ですもの」

「ああ、だからサングリアを領主にするのではなくチャーリーを正式な跡継ぎとして迎えたいと思ってね」

「お兄様!」

これまで入り婿として補佐的な役回りを義務付けられていたチャールズが正式な跡継ぎとして選ばれた事に驚くリリアンヌだった。
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