101 / 168
第四章.魔法学園
22.陽だまりに触れた日
アネット・キャンドルは学園内でも浮いた存在だった。
彼女自身に問題がる性格だと言う意味ではない。
ここが貴族の令嬢、令息が通う学園故に、アネットは悪目立ちしていた。
「見て、平民がいるわ」
「どうして、貴族しか通えない学園に」
「聞けば、光の魔力を持つとか…」
どの国でも常識とされているのが、魔力を持つのはほとんど貴族だけと言われている。
にもかかわらず、アネットは魔力を持っていた。
しかも、王族の中で限られた者しか受け継ぐことができないと言う特別な魔力。
光の魔力の持ち主だった。
通常、魔力は過去に精霊の恩恵を受けたことで決まるのだが、光の魔力だけは継承ではなかった。
天が授けた特殊な者で、選ばれた存在だけが受け継がれていた。
アネットの両親はごく普通の人間で平凡だった。
両親に片方が貴族ということもなかったが、ある日突然に光の魔力が発動してしまった。
その所為でアネットの環境は変わってしまった。
これまで普通に幸せだった。
生活は苦しかったが、平凡な幸せの中生きて来たのだ。
しかし、光の魔力を発動させたことですべては変わり始めた。
母親の不義を、近所から疑われ白い目で見られ、学校でも冷たい視線と言われのない噂を流される日々に苦痛を感じながらも、母の手伝いをして、学業を疎かにすることなく必死に努力した。
しかし、頑張れば、頑張るほどに裏目に出てしまい。
アネットが優秀であればるほど疑いを向けられてしまい、居場所は何処にもなく一人ぼっちだった。
そんな時、王立魔法学園への推薦が来た。
この際、新しい環境に身を投げ心機一転と思いきや。
アネットの願いは空しく、学園でもアネットは一人ぼっちだった。
試験を受けに行けば、蔑んだ目で見られ。
場違いだと言わんばかりの視線や陰口に、アネットは傷ついた。
(ここにも私の居場所はない…私は…)
ずっと諦めずに頑張って来た。
なのに、頑張っても無理だと。
お前には居場所などないのだと言われているようで悲しかった。
だが、試験の日。
「わぁぁ!ないない!!」
隣の席の同じ受験生の少女が鞄をひっくり返しながら叫んでいた。
「まずい、まずい、まずい…忘れた!」
鞄をひっくり返しながら何かを探しているようだった。
(何を探して…あら?)
床に落ちている受験票を手に取りアネットは直ぐに声をかけた。
「あっ…あの、落としてますよ」
「私の受験票ぉぉ!ありがとうございます!」
「あっ…いえ」
受験票と一緒に手を握られアネットは驚いた。
誰かに手を握られるのは久しぶりで、握られた手から温もりを感じたのだった。
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
【完結】能力が無くても聖女ですか?
天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。
十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に…
無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。
周囲は国王の命令だと我慢する日々。
だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に…
行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる…
「おぉー聖女様ぁ」
眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた…
タイトル変更しました
召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です
悪役令嬢、猛省中!!
***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」
――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。
処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。
今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!?
己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?!
襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、
誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、
誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。
今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!
「失礼いたしますわ」と唇を噛む悪役令嬢は、破滅という結末から外れた?
パリパリかぷちーの
恋愛
「失礼いたしますわ」――断罪の広場で令嬢が告げたのは、たった一言の沈黙だった。
侯爵令嬢レオノーラ=ヴァン=エーデルハイトは、“涙の聖女”によって悪役とされ、王太子に婚約を破棄され、すべてを失った。だが彼女は泣かない。反論しない。赦しも求めない。ただ静かに、矛盾なき言葉と香りの力で、歪められた真実と制度の綻びに向き合っていく。
「誰にも属さず、誰も裁かず、それでもわたくしは、生きてまいりますわ」
これは、断罪劇という筋書きを拒んだ“悪役令嬢”が、沈黙と香りで“未来”という舞台を歩んだ、静かなる反抗と再生の物語。