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第四章.魔法学園
25.急接近
しおりを挟むアネットと距離が少しだけ縮まり、学園生活は楽しくなった。
苦手な理系の勉強に苦戦していたマリーだったが、アネットが勉強を見てくれるようになり、まだ苦手手であるが、理解を深めるようになった。
「はい正解です」
授業で問題を当てられても困ることなく答えることもできた。
「マリー様、理系は苦手でしたのに」
「ええ、最近は先生に質問されても答えられるようになったのですね」
ジョアンナとセレシアが感心しながら言うと。
「キャンドルさんが勉強を見てくれたんです。このノートもキャンドルさんが作ってくれたんですよ」
「「え!」」
「あ、キャンドルさん!」
何時の間に仲良くなったのかと聞く間もなくアネットの姿を見つけ駆け寄る。
「キャンドルさん、ノートありがとう。すごく授業が解りやすいわ」
「いいえ、私は…」
「控えめね、キャンドルさんは教えるのがすごく上手ね。勉強ができない人の気持ちも解るし…頭の悪い私でもすぐに理解できたわ」
「そんな…」
大げさではなく事実だった。
マリーは理系に関しては理解力が悪かった。
無理に理解しようとすればさらに状況は悪化。
家庭教師も頭を抱えていたのだが、アネットは参考書だけではなく図式等を使って理解する方法を考えたのだった。
そのおかげで理解できるようになった。
これはアネットが、どれだけ努力して勉強して来たか教えられた側のマリーが一番解った。
「キャンドルさんはそんなに理系が得意なのかしら」
「そうですよジョアンナ様、キャンドルさんは教えるのが天才です。それにお菓子作りも上手なんです」
「まぁ、そうですの?」
「そうだ、セレンの紅茶に合うお菓子をキャンドルさんにアドバイスを貰ったらどうかしら」
名案だと言うマリーにアネットは驚く。
いくら何でも貴族のお茶会に出せるようなお菓子を作れる自信はなかった。
「そんな!私なんか!」
「この私の舌に狂いはないですよね!ジョアンナ様」
「マリー様、胸を張らないでください」
自分が食いしん坊であることを自慢するマリーに呆れる。
「キャンドルさんは素晴らしい才能をたくさん持っているんですよ。ジョアンナ様も言っていたではありませんか!才ある者は評価されるべきだって」
「そうですわね…」
ジョアンナはマリーの人を見る目を評価していた。
そしてマリーが人誑しであることも。
(これはいい機会ですわね)
アネットの事を知るいい機会だと思った。
平民でありながらも国を揺るがすほどの魔力を持っているが、人柄を知らない。
今後、国に影響を及ぼす際に監督責任を持つのはジョアンナだろう。
ならばここで見極めるべきだとも思った。
「キャンドルさんがお嫌でなければお話を伺いたいですわ」
「あっ…はい」
マリーの思いとは裏腹に、アネットとジョアンナが急接近するきっかけとなるのだった。
本来ならばこの二人は決して交わることはなかった等、知らずにいた。
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