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第四章.魔法学園
31.再会
しおりを挟むマリーを追いかけ、図書館に入ったアネットは迷子になっていた。
広すぎる学園内の図書館は多くの書物に囲まれており、慣れてないと迷子になってしまう生徒も少なくない。
「どうしよう…マリー様は」
キョロキョロと当たりを見渡しながら地図を片手にマリーの行方を探していた最中。
しかし前を見てなかったせいで、誰かにぶつかり転びそうになる瞬間腕を引かれる。
「大丈夫か?」
「はっ…はい、すいません」
腕を引かれ支えられ、驚くアネットだったが。
「アネット?」
「チャールズ様」
助けてくれたのは忘れられない人だった。
「君もこの学園の生徒だったのか」
「はっ…はい。チャールズ様も」
「ああ、高等部だ。制服を見ると…君は中等部のようだな」
変わらない優しい笑顔を見るとほっとするとした。
「チャーリー?」
「ああ、マリー」
愛称を呼ばれ、チャールズが振り返るとそこには大量に積まれた本を運ぶマリーがいた。
「これだけあれば十分だよね」
「マリー!そんなに本を運んだら危ないから!」
グラグラしながら本を運ぶ姿を見てチャールズは急いで駆け寄るも。
「わっ…」
「危ない!」
チャールズは急いでマリーを抱き寄せ、片手で本を抑え込んだ。
「うぉ、チャーリーすごい」
「すごいじゃないだろ?危ないだろ」
「いやぁ?行ける気がしたのよ」
「あのなぁー…」
二人の何気ないやりとりにアネットは置いてきぼりにされた気分だった。
(二人は知り合いなの?)
胸の奥がざわめくような感じがした。
何故かざわつき、苦しいと思う。
(何で…)
この感情の意味が解らなかった。
マリーとチャールズが親し気にしているのを見るのが嫌だと思ってしまった。
「何だ、彼女と知り合いだったのか?」
「同じクラスで、勉強を見てくれているのよ。キャンドルさんは特待生で、先生よりも勉強の教えからが上手なの」
「そうなのか、優秀なんだな」
「えっ…いえ、そんなことは」
いきなり話を振られて驚く。
「マリーに勉強を教えるのは大変だろう?」
「いいえ、マリー様は覚えるのが早いですし…私も勉強になりますので」
褒められて恥ずかしくなるアネットは顔を俯かせるが、その表情がとても愛らしく感じられるチャールズだった。
「実はマリーが悪役令嬢の道を究めるとおかしなことを言っていていたんだが、良かったら君も手伝ってくれないか?」
「悪役令嬢とはどのような方なのですか?」
「俺もいまいちわからなくて、色々調べている所なんだ」
困り果てているチャールズにアネットも手伝うことになり、結局三人で悪役令嬢談義をすることになるのだった。
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