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第六章.逆行した世界で
6.アンナの隠密調査2
しおりを挟む柱に隠れながら歯ぎしりをするアンナはこれ以上無い程怒っていた。
何故そんな噂が流れたのか。
故意的に誰かが流したとしても、あまりにも用意周到だった。
(一体誰が…)
マリーの存在を疎ましく思う人間は確かにいる。
王族派と敵対する派閥もそうであるが、王太子妃の座を狙う令嬢からすればマリーの存在は邪魔だったが、学園内で手を出すなんてことは難しい。
何故なら、マリーの傍には王族や王族に連なる者達が傍にいる。
特に氷の女帝から寵愛を受けているマリーを害するなんて命知らずはそういない。
「私も噂を聞いたときは、半信半疑でしたのよね」
「ええ、婚約者候補だった姉君を王都から追放したと聞きましたわ」
(逆です!逆!!)
柱に隠れながらも令嬢達に突っ込みを入れる。
「けれど、先ほどグラウンドで妹君を罵倒し、ヒステリックに叫んでいるのを見たら…ねぇ?」
「噂は作り話だって思ってしまいます」
「ええ…私にも妹がいますが、あんなひどい言葉は言いませんわ。誰かが、マリー様を失脚する為に流したのではなくて?」
少し考えれば解ることだったが、噂隙の令嬢達は便乗して楽しんでいる者もいるので、噂はエスカレートしているのが現状だった。
「そういえば、サングリア様と親しい令嬢がマリー様の悪口をおっしゃってましたわね」
「えーっと確か…エイミー様とマイアン様でしたわよね?スペンサー侯爵家のご令嬢だとか」
(スペンサー侯爵家!)
名前だけを聞いてもすぐに出てこなかったが、スペンサー侯爵家と言われてすぐにピンと来た。
少し前までは社交場でも目立つ存在でもあった。
しかし現在は落ち目でもあると言われていると噂をせれていた。
その理由は、スペンサー侯爵が実力主義であるからだ。
五年前までは社交界にほとんど顔を出さなかったロザリアだが、今では社交界の華とも呼ばれ目立つ存在となっている。
多方面にてとても優秀だったロザリアは、今では跡継ぎ候補として有力だった。
対する姉達は特に際立つ才能もなく、今まで馬鹿にしていたロザリアに負けている状況をおもろく思うはずがない。
(なるほど…そういうことですか)
ロザリアの姉達はマリーの事を憎んでいるだろう。
今でこそ自信に満ち溢れ、優秀な令嬢に成長したロザリアだが、そのきっかけを作ったのはマリーだった。
マリーがいなければ、ロザリアは今も影に隠れていただろう。
姉に虐げられるのが当然のようになっていたが、今では姉に嫌味を言われても言い負かすまでになっている。
その所為か、マリーを疎ましく思っても仕方ない。
(これは、報告しなくては!)
直ぐにその場を去りアンナは行動に出たのだった。
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