今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

文字の大きさ
140 / 168
第六章.逆行した世界で

19.屈辱の記憶




見下していたはずの人間に馬鹿にされ、苛立つサングリアは所作など忘れて歩いて行く。

髪を乱し、スカートを翻していた。
その所作の悪さに、通りすがる生徒は目を反らしていた。


そして、進んだ先には――。

(あれはチャールズ?)


手には青い薔薇を持っていた。


王都でも青い薔薇はとても貴重で、高価だった。
高位貴族でも手に入れるのは難しい薔薇を持っていた事も気になるが、一番気になったのは、何故あの薔薇をチャールズが持っていたのかだ。


(あの薔薇をどうして…だって、あの薔薇は!)


青い薔薇をサングリアは逆行する前の時に見た事があった。
ただし、その薔薇を持っていたのはチャールズではなく別の人物だったが。


「これを受け取って欲しい」

「チャールズ様…本当にいいのですか?」

「私は君に受け取って欲しいんだ」


こっそり聞き耳を立てると聞きなれた声が聞こえ、目の前が真っ暗になる。


(どうして…ありえない!)


チャールズが青い薔薇を差し出した相手は、サングリアの憎い敵でもある人物だった。


「今度のダンスパーティーのパートナーになって欲しい」

「嬉しいです。チャールズ様」


青い薔薇を差し出した相手はアネットだった。


(そんな…アネットの相手は殿下だったはずなのに!)


足元が覚束なくなりながらも前世の記憶と言葉が重なる。



『アネット、私のパートナーになって欲しい』

『嬉しいです、アレクシス様』


同じように庭園で二人きりだった。
人目を忍び、青い薔薇を差し出し告白するシーンは同じだった。

違うのは、相手がアレクシスではなくチャールズだったのだ。

この国にでは、好きな女性に自分の瞳の色の贈り物をする習慣がある。
特に自分の瞳の色の薔薇を贈る行為は特別な意味合いを持ち、愛の告白を意味していた。


(嘘よ…何で、このタイミングで?早すぎるわ)


ガタガタと震えるサングリア。
告白のシーンは二年後のはずだったのに、まだ早すぎる。

どうして過去と違うのか。


(何で…どうして!)

これ程の裏切りは許せないと思ったサングリアはチャールズを睨んだ。

(私を裏切ったの?)


しかし、サングリアは勘違いをしていた。
既に婚約は解消になっており、二人の関係は従兄でしかない。

しかも、領地で騒ぎを起こしてしまった所為でサングリアの立場は危うかった。
チャールズがなんとか庇っているが、万一にでも新たな婚約者ができればどうなるか明らかだった。


サングリアは修道院に入れられるか、もしくは、伯爵以下の子息に嫁がされるかのどちらかだった。


公爵令嬢としてそんな惨めな生き方は許せない。
サングリアは、王族かそれに近しい高貴な身分以外に嫁ぐなんて許せなかったのだ。


だが、目の前で微笑み合う二人はどう見ても相思相愛同士に見え。

かつて、アレクシスと微笑み合ったような笑みを浮かべるアネットがそこにいた。

感想 111

あなたにおすすめの小説

王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!

ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。 なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。

冤罪で追放された令嬢〜周囲の人間達は追放した大国に激怒しました〜

影茸
恋愛
王国アレスターレが強国となった立役者とされる公爵令嬢マーセリア・ラスレリア。 けれどもマーセリアはその知名度を危険視され、国王に冤罪をかけられ王国から追放されることになってしまう。 そしてアレスターレを強国にするため、必死に動き回っていたマーセリアは休暇気分で抵抗せず王国を去る。 ーーー だが、マーセリアの追放を周囲の人間は許さなかった。 ※一人称ですが、視点はころころ変わる予定です。視点が変わる時には題名にその人物の名前を書かせていただきます。

悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」 ――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。 処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。 今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!? 己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?! 襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、 誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、  誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。 今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

【完結】前提が間違っています

蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった 【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた 【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた 彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語 ※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。 ご注意ください 読んでくださって誠に有難うございます。

次こそあなたと幸せになると決めたのに…中々うまくいきません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のシャレルは、第二王子のジョーンによって無実の罪で投獄されてしまう。絶望の中彼女を救ってくれたのは、ずっと嫌われていると思っていた相手、婚約者で王太子のダーウィンだった。 逃亡生活を送る中、お互い思い合っていたのにすれ違っていた事に気が付く2人。すれ違った時間を取り戻すかのように、一気に距離を縮めていく。 全てを失い絶望の淵にいたシャレルだったが、ダーウィンとの逃避行の時間は、今まで感じた事のないほど、幸せな時間だった。 新天地マーラル王国で、ダーウィンとの幸せな未来を思い描きながら、逃避行は続く。 そしていよいよ、あと少しでマーラル国というところまで来たある日、彼らの前にジョーンが現れたのだ。 天国から地獄に叩き落されたシャレルは、絶望の中生涯の幕を下ろしたはずだったが… ひょんなことから、ダーウィンと婚約を結んだ8歳の時に、戻っていた。 2度目の人生は、絶対にダーウィンと幸せになってみせる、そう決意したシャレルだったが、そううまくはいかず、次第に追い詰められていくのだった。 ※シャレルとダーウィンが幸せを掴むかでのお話しです。 ご都合主義全開ですが、どうぞよろしくお願いします。 カクヨムでも同時投稿しています。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過