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第二章
26伯母
しおりを挟むフェルト家との婚約破棄からしばらく過ぎた頃、結婚詐欺の罪で訴えると言われながらも慰謝料を払う事はしなかった。
何故俺がそんな金を支払わなくてはならないんだ。
俺は何も悪い事はしていないし、騙していないのに向こうが勝手に被害妄想をしているだけだ。
だが子爵家から男爵家に降格になった後に。
「何という事をしてくれたの!」
「お姉様!」
「王都から使者が我が家に来たわ…なんという恥さらしな事を」
伯母がいきなり我が家に無礼も押し入って来て、暴言を吐く。
「おかげで我が家も大恥をかいたのよ…慰謝料を代わりに支払うなんて冗談じゃないわ」
「でも私は悪くないわ」
「話にならないわ。王都より代わりに領地を差し押さえるとまで言われているわ…お父様の残してくれた土地と馬車と馬で後は分割にしてくださるそうよ」
「そんな勝手な…」
「後、この邸は差し押さえになったわ」
人の邸を好き勝手する権利はないだろ!
「お姉様は、ここは…」
「シェパードは引き継げないわ。特別の処置として私が引き継ぐことになったから一か月以内に出て行ってちょうだい」
「お姉様が引き継ぐ?そんな…」
「私は資格はあるわ。でもこんな領地を引き継いでも負債を抱えるだけだわ」
何から何まで勝手に決めるなんてどれだけ横暴なんだ。
この領地は既に俺のものだ。
そんな勝手が許されるはずがない。
なのに伯母上は心底迷惑そうな顔をしながら惨い言葉を言い放った。
「売れる物はすべて売るわ。それから貴女とは縁を切るから」
「そんな酷いわ」
「伯母上!貴女は…」
「百姓貴族を身内に持って恥ずかしいのでしょう?ずっとそう言っていたじゃない。縁を切りたかったのなら丁度良いでしょう」
「あれは…冗談で」
「そうよ。今さらそんな」
過去の事を持ち出し、陰湿な女だ。
あんなのは冗談だ。
それを未だに根に持つなんて最低だな」
「社交場で娘を侮辱した事も冗談とでも?」
「そっ、そうだ。あんなのは酒の肴で…」
別にいいじゃないか。
三年も前の話で酒に酔って少し冗談を言っただけだ。
「その所為で娘は婚約が解消になったのよ。その時貴女は嘲笑ったのよ…絶対に許さないから」
「伯母上!」
「この邸は取り壊すわ。そしてアンタ達をこのままにしないわ」
伯母の目は本気だった。
「待ってお姉様」
「もう姉妹でも何でもないわ。一か月後にはこの邸は取り壊して領地も売るわ」
ちょっとした冗談が通じないなんて正気じゃない。
「ディアスに免じてこれまでの暴挙は許して来たけど。もう我慢ならないわ」
「お姉様!」
ここでもディアス。
何故だ。
あんな男が何故ここまで!
俺は納得いかなかった。
だが事態は俺達が思うよりも深刻な状況下だと、久しぶりに友人に招かれた舞踏会で思い知ることになった。
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