兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ

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第二章

30漏れ





秋に向けての新作のコートを考えたデザイン。
私とエリアナ様と一緒に考えた、一か月後に発表するはずだった。


だけど――。


私達の考えたアイデアが盗まれてしまった。


「どうして私達の考えたドレスが…」

「何所で漏れたのかしら」


厳重に警戒したのに、何処で情報が漏れてしまったのか。
工房でも厳重に警戒していたのにデザイン画少し被るのは解るけど全て被るなんて。


「大変です奥様」

「どうしたの」


「王都内の絹が何者かに買い占められています」

「えっ!」


絹が手に入らないのであれば、新作のドレスが作れない。
それどころか他の布も誰かが大量に買い占めている状態だと知らされた。


「何所で情報が漏れたのかしら」

「迂闊でしたわ。事業をする際に私がもっと…」


誰の所為でもない。
いいえ、簡単に考え過ぎていたのだわ。


領地ではこう言った事はあまりなかった。
でも、ここは王都だ。
同じに考えていたのが間違いだった。


「ですが、このままでは」

先に発表されてしまったらどちらが真似をしたと言うのは後から発表した方になる。


「どうしたら…」


生地は揃わない。
デザインは今からでは間に合わない。


「ただいま」

「アンリ」

「アンリ様」


泣きそうな私達を見てアンリが困惑した。

「どうしたんだマリー」

「それが…デザイン画が外に漏れてしまって」

「何だ、そんな事か」


そんな事?
アンリは表情を変えることなく私の大好きなお店のお菓子を差し入れしてくれた。


「新商品の苺ショートだ」

「アンリ様、今はケーキを食べている状況では…」

ケーキは嬉しいけど今はそんな悠長な事を言っている場合ではないわ。


「アイデアを盗まれるのは予測している」

「え?」

「俺はこれでも長年王都で暮らしていたんだぞ?ある程度の事は想定以内だ。対策をしても限度がある。だからリスクを抑える為に対策はしている」

「そう…申されますと」

「前のデザインに少し手を加えてまったく別の衣装にする事を前提にしている」

「布や材料は…」

「元から本契約を考えていない商会だ」


私とエリアナ様は開いた口が塞がらなかった。
全ては計画的だったアンリは最初から対策をしていたのだ。


「アンリ様、すごい策士ですわね」

「ええ…」


学生時代から頭が切れる人だった。
ランフォード領地でも上手く立ち回ってくれたけどこれ程だったとは思わなかった私は驚きを隠せなかった。


「少しばかり痛い思いをさせてやろう。そして恥をかかせるべきだ」

「はっ…はい」


アンリは笑いながらも目が全く笑っていない。
敵にしてはいけない人物を彼等は敵に回してしまったのだから。





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