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第二章
32王家の敵
マリー嬢のアイデアが盗まれはしたが、アンリ殿の機転で巻き返しをした。
実に恐ろしい男だ。
「まさか、最初からしてやられるとは思わなかったでしょうね」
「ああ、必要なら手助けしようと思ったが」
アイデアを盗んだのは以前からディーを毛嫌いしていた貴族だ。
高位貴族で、下級貴族を毛嫌いしていた名ばかりの馬鹿貴族だ。
「モンハン家は今では高位貴族を凌ぐ程の資産家です」
「馬鹿め、己が出来なかった事をディーが成し遂げた事を逆恨みするとは」
ただ恨みの矛先をマリー嬢に向けるとは愚かな。
「我らが直接手を下せば後々厄介ですからな」
「ある意味アンリ殿は頭が良い」
今回の事でカモフラージュとして取引していた商会は二度とアンリ殿と手を組むことはできない。
二週間前から偽物の絹や、皮を使っていると噂が流れていた。
しかし鮮やかな動きだな。
「アンリ殿は中々の腹黒策士だな」
「今まで大人しくしていたものです」
領地でもかなり冷遇されていただろうに。
にも拘らず随分と大人しく潜んでいたと思うが、恐らくディーとマリー嬢の為か。
「本当にもったいない逸材だ」
「ええ」
これからは彼のような人材をくすぶらせることはできない。
とは言ってもまだまだ改正をしなくてはならない法律もあるのだからな。
「して次なる計画は」
「進ませています。馬鹿親子が勝手に自滅してくれたようです」
「自滅?」
書類を見せられると、私は目が悪くなったか?
「気のせいか?」
「いいえ、気のせいではない」
何故生類の中に被害届があるのだ。
ペルシア公爵家からだと?
「舞踏会でペルシア公爵家の婿のベノアが暴行を受けるだと?」
「何がどうしてそうなったのか聞けば、馬鹿がベノア様をバルコーニから突き飛ばしたそうです。幸い軽傷で済んだのですが」
「何と馬鹿な事を」
ここまで自分から自滅をしてくれたのは嬉しいが、何処までも馬鹿なのか。
ベノアは公爵家でも大切にされていた。
婿として望まれ、家族として深い愛情を思って接していた公爵はさぞ怒っただろう。
「相手は公爵家だ。謝罪で済むはずもない」
「謝罪もしていないそうです」
「は?」
馬鹿かあいつ等は。
謝罪をしないで自分達は何様だ。
「蛆虫の駆除をするまでもないな」
「ええ、ですがこのまま自滅するのを待つよりも仕掛ける予定です」
生きたまま地獄を味合わせなくてはならない。
ディーが受けた屈辱以上の苦しみを味合わせなくてはならないのだから。
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