兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ

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第三章

13祖父①






お母様はランフォード領地を買ったのだけど。

「この権利書は二人が持っておきないさい」

「「は?」」


本来ならばお母様の物なのに。


「ランフォード領地は破格の値段で譲ってもらったわ。本来なら十倍の金額を支払わなくてはならないの」


「だとしても交渉したのお母様です」

「そうね。でも先代から守り続けた土地もまだたくさんあるわ。ダニアが手を付けていなかった土地があるのだけど」

「はい」

「実は調査員と一緒に隠れ家を見つけたの」


隠れ家?
初耳だった。

「小さな家だったからダニアも捨て置いたのね?」

渡されたの手紙だった。


「貴女のお祖父様からよ。一部の土地を貴女に譲るとの事が書かれていたわ」


私はお祖父様との思い出は少ない。
幼少期に病死しているし直接言葉を交わした記憶はない。


「例え言葉を交わさなくとも先代は貴女を愛していたわ。だって手紙に愛するマリーへと書かれていたわ。そして貴女の名前は先代の奥方、マリアージュ様から取ってつけたと聞いたもの」

「私の名前が…」

「だからランフォード領地は貴女が引き継ぐべきなの。問題ないわ」



私はお祖父様に愛されていた。
言葉も交わした事がないのに嬉しいと思った。


「だけど解りませんね」

「何が?」

「先代も決して愚かではないはずです」


アンリは元実家の事を良く話していた。
お父様はともかくランフォード家は歪んでいる事を指摘した事がある。


「義父さんを婿に入れた時点で優秀で目利きだというのは解ります」


「ええ」

「なのに何故あの女を野放しにしたのでしょう」


既にあの女呼ばわり。
名前も呼ぶのが嫌なようだと解った。


「先代もダニアに困っていたのでしょう…だけど最後の情けをかけた」

「情け?」

「独身時代から真面な勉強をしないで遊び回っていたダニアを外に出すのは危険だと思ったのよ。姉君は聡明で勤勉であるが跡継ぎにすれば苦労するわ」


苦労だけで済まない気がする。
あの人は嫉妬心が恐ろしい程に強いから伯母が当主になれば足を引っ張り何をしでかすか解らない。


「だからこそ離れた場所に…しかも百姓貴族に嫁がせた。後から聞いたけど、嫁ぎ先にはかなりの金額を援助した後に縁を切っているわ」

「それだけしなければなかったんですね」

「先を読み過ぎていますね」


でもそれなら解らない。
そこまで先を読んでいたのにこんな事になったのか。


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