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第四章
34語り
しおりを挟む裁判での出来事を統べて語りながらも言葉だけは語りつくせなかった。
「この世には悪は存在しない」
「え?」
言い方は偏りがあるかもしれないが裁判を終えて改めて理解した。
「人は何でも正義と悪、白と黒をはっきりさせたがる。だが悪は時に正義となりその逆もしかり」
今回の裁判で俺は俺の正義を貫いた。
しかし悪だと思う者もいるのだろうけど、そのも完璧な正義はない。
「俺の正義、彼等の正義…それが違っただけ」
一般的に考えれば彼等を悪と考える者は多いだろう。
その一方で真実を知らずに一部だけ聞いた者がいればダニア達に同情するだろう。
「この裁判での事を記事にする際に頼みがある」
「何です?」
「記者として偏りのない記事を…片方だけ正義にしないでくれ」
俺も裁判に勝つために卑怯な手を使った。
正しいとは言わない。
それでも俺なりの正義を貫いたんだ。
「どんな記事を書いても良い。だが、都合の良い記事を書く事はしないでくれ。この裁判が次に生かせるように…貴族だからとか理由で許されない事をして許されないように」
きっとマリーも望んでくれているはずだ。
権力を持つから優遇されるなんてあってはならない。
「報道は公平にあって欲しいから」
「承知しました」
例え俺のした事を認めない人間がいたとしても。
数年後過去の事を悪く言う人がいても、同じような事が起きた時に裁きは平等であって欲しい。
そう願ってやまない。
数日後裁判は新聞に大きく取りあがられ、本も出された。
ルポライタージョゼッペ・ペルゴニーが真実を書いた記事は賛否両論であるが、評価を受けた。
後に裁判は身分関係なく平等であるべきだと声を上げた者が多く。
筆跡鑑定が重宝されるようになり、裁判でも重要な役目を担うようになった。
皮肉なものだ。
筆跡鑑定を研究していたのはマリーだった。
数年前までは筆跡鑑定は裁判に使われなかったが、学園内で苛めが起きてその犯人を捜す為に筆跡鑑定のスキルを使った事で犯人は見つかった。
それ以降筆跡鑑定スキルを重要視した学園側は犯罪などにも利用するようになったのだが。
マリーによって真実を暴かれるようになるなんてと思ったが、これこそ正義の女神のお導きではないかと思った。
裁判が終わり、二人は北の最果てに送られる事になったが:。
その詳細は解らない。
裁判の後に面会が許されなかった事もあり俺は王都から大勢の民に罵倒を浴びせられながら船に乗せられるのを遠くから見ただけだったのだから。
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