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第一章
3下町
しおりを挟むボロネーゼ伯爵家。
中位貴族で服飾関係を手広く展開している商人貴族。
大貴族から平民まで取り扱う。
料金も良心的で、元は子爵で国も貢献したことから伯爵位を得た。
息女のリナ様は優等生で素行も申し分ない。
跡継ぎがない事から婿を迎える事を決めていた。
その見返りに婿の家に援助をする事になっている。
カスケード伯爵家とは親しい間柄で、婚約してから共同経営をしていた。
だけど、婚約者となる男。
フリード・カスケードは調べた限り最悪のクズだった。
その親も最低だったが、婚約がいながら浮気を繰り返し婚約者の名前で多額の借金をしていた。
カスケード家は既に傾いているのをボロネーゼ家に援助してもらうおかげで成り立っていた。
いうなれば大恩を受けているのにだ。
「最低だわ」
「恩を仇で返すなんて、何を考えているんだ」
最初から狙っていたのかもしれない。
私がこっそり身辺を調査すると、リナ令嬢に過失はない。
「私の娘に過失はない。なんの非もないんだ!」
「伯爵様、どうか落ち着いてください」
カウンタ席の方が叫ぶ声が聞こえた。
「娘はあの事件で一命は取り留めたが…周りは娘が生きている事が罪だと!」
「酷い話だ。カスケード家はどれだけ恩があると」
「婚約破棄をしておきながら慰謝料を支払えと…弁護士に言われた」
カウンターテーブルを叩きながら涙を流す。
「共同開発していた商品の権利も奪われ、店の権利もよこせと」
「そんな馬鹿な話がありますか。店は先々代台から受け継いだもんでしょうに」
何もかも奪われ、不義を働いたのは相手側なのに酷い話だ。
「娘が他の男と浮気をしたと変な噂を流されている。その夜は私と一緒にいたんだ。なのにどうして隣町で男と逢引きなんてできるんだ…絶対に仕組まれたんだ!そうに違いない」
「弁護士はなんと」
「証言者と物的証拠がある。認めた方が罪は軽いと」
最初かっから決めてかかる弁護士。
裁判ができないと解っているからこその口ぶりだった。
「既に手を回され弁護士もつかい。妻も精神を病んでしまって…どうしたらいいんだ」
零れる涙。
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「貴女は?」
「名乗る程の者ではございません。ただの女官にすぎません」
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そして悪人正義の名の元に成敗を。
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