19 / 19
第一章
18暴露
しおりを挟む「なっ、何だこれは!」
真っ青になる豚侯爵は何とかしてこの場を逃れようとするももう一つの音声が流れる。
『これでお前は王都内の商会を牛耳る女商人だ』
『ええ、後は邪魔なあの人に消えてもらうだけです』
豚侯爵が寝所でカスケード夫人とむつみ合う光景だった。
『悪い女だ』
『だってあんな無能な男に魅力はありませんわ。それに十年以上も浮気をしてもまったく気づかないんだもの。フリードだって他所の男とできた子だもの…利用価値があるから産んだけど。出来が悪くて』
『はははっ、お前も言うようになったな』
『お腹には侯爵様の子がいるんですもの』
そこで映像が切れた。
「随分と盛っておられるようですね」
「なっ…何だ」
「それから貴女達が密会した店ですが、ドアをしっかり締めないと映像に移るんですよ?我がボロネーゼ商会が防犯用に作った映像道具ですから」
そう言いながらマスクを取ると。
「リナ!」
「何で!」
侍女の装いをしてずっとこの会場にいたのはリナ・ボロネーゼ令嬢。
「私からの贈り物もございますわよ」
「セリア!」
メイドの服装をしたふくよかな女性は変装したセリア夫人だった。
「どうして…」
社交界では亡くなったと噂が流れていたが。
「あくまで噂ですよ。噂とは飛躍するので少し利用させていただきましたの」
「貴女は何者なの…ただの王妃様の傍付き侍女じゃ」
「名乗る程ではありません。ただの女官で正義の代理人です」
「それは薔薇勲章!」
胸元のバッチを見せると悲鳴を上げる。
薔薇勲章。
それはどの国も共通する女官の証。
ただし、ただの女官ではない。
君主から特命を命じられた特殊な立場である。
「詐欺容疑、殺人罪、その他の罪で貴方達を捕縛いたします」
「何ですって…きゃああ!」
使用人達がカスケード夫人を捕らえた。
「何をする!私を誰だと」
「そうそう言い忘れましたが、ここの会場の映像は王宮のある部屋にも繋がっております。何処でしょう?」
映像を切り替えると。
『久しぶりですな侯爵』
「ひぃぃ!モラノルト侯爵!」
氷の長官。
鬼の上司とも呼ばれるこの方。
ナビオ・モラノルト文官長だ。
『貴方の悪事は私の部下全て暴いている。後程沙汰を下されるでしょう?詐欺グループも既に捕らえております』
「なっ…待て!何かの間違いです」
『弁解は後程聞きますよ』
ここで映像は切れる。
「カスケード伯爵、ハンズ子爵。お二方は殺人罪だけでなく詐欺罪もありますので覚悟してください」
「何で…どうして」
既に二人の両親は膝をつき、反論する気力がない。
ルーナ・バンズだけは違ったが。
11
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。