聖女でなくなったので婚約破棄されましたが、幸せになります。

ユウ

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第一章

21崩壊する結界

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ジュリエットが追放になって三日。
王都の結界は壊れ、東北地方の守りは完全に壊れてしまった。


王都の結界が壊れた事により貴族街は魔物に襲われてしまったが、平民の住まう町は比較的にも無事だった。


バイエルン王国は貴族街と平民が住まう町は壁で隔たりがある。
そしてもう一つ異なっているのは下町には小さな教会が幾つか置かれており、聖女の結界が敷かれているのだった。


聖職者は結界の亀裂が生じた頃から非難を呼びかけ、平民達は身を護る準備と第一騎士団が子供や女性に老人を最優先に避難の呼びかけを行っていた。



何より聖女に対して信仰心の強い平民はロザリオを首にかけ祈る事で魔物は逃げて行くのだが、その大半はジュリエットを慕う民ばかりだった。


イライザやミーシャが守る領地の民は逃げるしかできなかった。
聖女の力とは信仰心が影響し、民が心から感謝を込めて聖女の祈れば聖女のロザリオを介して結界魔法が敷かれるようになっている。


「どうして私達は守って貰えないんだ」


「北の領地被害が少ないのに…何故!」

「ジュリエット様を信仰する者は守られてるのに何故!」


それぞれ信仰する聖女が異なるにしても、ここまで差が出るは何故かと責める言葉が聖女への信頼と信仰を失う形になる。



「ジュリエット様は遠くから我らをお守りくださっているのだ」

「皆、祈るぞ。遠く離れ、聖女でなくなってもあの方こそ真の聖女だ」


風の噂でジュリエットは聖女ではなくなったことを知らさせるも、心の仲では聖女と崇めていた。


「ジュリエット様、ありがとうございます」

「貴女様が炊き出しをしてくださって、飢え死にせずに済みました」

「私達も病から救われました」


「「「どうかお幸せに」」」


彼等はジュリエットに聖女の戻って欲しいとは願わなかった。
聖女の役目は過酷で、どれ程辛いか目の当たりをしたからこそ残りの時間を幸福に生きて欲しかった。


「女神様。心お優しい聖女様を」

「どうかお守りを」

「幸福を」


聖女を愛する思いは変わらず、その思いで彼等は加護を与えられたとの噂が流れだした。


実際北の領地は極寒の地で魔物は大暴れする事はなかった。
逆に気候に恵まれている他の領地は襲われ、イライザの担当する領地は魔物の襲撃により町や村は崩壊寸前になり、ミーシャの担当する領地は水害に見舞われていた。



唯一残ったルーアンの担当領地は聖女の力に頼るのではなく人の手で魔物から町を守る防衛策で守る事ができたのだが、不満の声が日に日に酷くなり、特に貴族達の不平不満は抑えられないでいた。


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