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第二章
6知らぬは本人ばかり
しおりを挟む花まつりを終えた頃、国の外では多くの問題を抱えていた。
しかし、表向きは問題ない様に振舞っていたが、魔物が各国で暴れ王族達は困り果てていた。
対するハクセンス王国は魔物が襲って来ることはない。
むしろ逃げて行くのだが、その一番の理由は聖花とジュリエットの結界が強度だったからだった。
「陛下、他国では被害が酷いようですな」
「だろうな」
「だろうなって…いいんですか?」
「フッ…」
元老院は表情を変えなかったが侍従は冷や汗を流していた。
伊達に女帝と呼ばれているわけではない。
「助けて欲しいならば言えばよかろう?助けやるというのを待っているのか?馬鹿め」
「その顔をお止めください」
「そうは言うが、お前もたいがいではないか」
二人は確信犯だったのでかなり質が悪かった。
何故なら他国が助けて欲しいならば相応の対価を支払わなくてはならない。
逆に自発的に援助をしてくれれば対価を支払う必要はないのだから。
他国からすれば勝手に助けたのだから、助けられた側は何もする必要がないと思うだろう。
「馬鹿め、ジュリエットは既に王族だというのに」
「聖女ならば助けてくれる、助けてくれて当然だと思いこむあたりが馬鹿ですな」
聖女は分け隔てなく助けてくれる。
無条件で尽くしてくれる存在だと思いこんでいる人間が未だに多い。
「時の権力者は彼女に何をしたか」
「陛下…」
「協力を望む国は過去に聖女を侮辱し馬鹿にした人間もいる。それだけではなくジュリエットが聖女として活動する間にも侮辱をしたと聞く。身の程を弁えろというのだ」
事前にアルフレッドからジュリエットが王宮内での待遇が酷く、他国の貴賓からも冷たい対応を受けながら、聖女の力が必要になれば都合よく利用されたことを聞いていたのだ。
「魔物に関しても自業自得だ」
「まぁ、無暗やたらに森の木を伐採し過ぎたのでしょう」
国内にある森の中には古い神殿がある。
その神殿を壊し、森の木を伐採した事で結界が弱まってしまったのだ。
ちゃんと調べもせずに行った人間が悪いと思う二人はそう簡単に助ける気はなかった。
「自分達の行いを振り返れば良いのだ」
「まぁ、こればかりは」
二人は頭を下げ、対価を支払わない限りは助ける気は全くなかったのだった。
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