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第一章侯爵令嬢の婚約者(仮)
36王太子の失態~ジルベールside①
側近達が逮捕された報告を受け、当初はくだらない冗談かと思った。
だが、翌日には王都新聞で大きく発表され真実であることをようやく知った。
「馬鹿な…」
「殿下、あまり興奮するとお体に!」
「うるさい!」
毒を盛られた影響で体はまだ動かない。
熱は下がったが体がだるく、ポーションを飲んでも回復しない。
挙句、私の命令通りに動かない無能な侍女に余計ストレスが溜まる。
「何だ!このまずい茶は!それにこんな菓子を出すとは!」
「しかし医師からは極度の糖質は体に…」
「黙れ!私の命令に従えないならば解雇だ!」
「きゃああ!」
大袈裟に悲鳴を上げて悲劇のヒロインぶるとは、なんと陰湿な女だ。
侍女ならば熱湯をかけられても主の命令に従え!
「これだから腰掛女は…」
そもそも侍女なんて男に媚びを売るだけのものだろう。
使えない役立たずはただ黙って言うことを聞いていればいいんだ。
なのに――!
「殿下!何をなさっているのですか!」
「お止めください!」
「その者は嫁入り前の令嬢です!」
部屋に入って来た侍従や騎士達が侍女を守るように私を睨んだ。
「嫁入り前?そうか、婚約破棄にでもなったか…それで腰掛のような仕事をしているのか」
「腰掛…殿下は何を申されているのです」
こんな使えない女など、誰も娶りたいと思わないだろう。
「一体何があった…」
「殿下が甘いお菓子を所望されまして…ですが医師に止められていたので」
「医師がなんだというんだ。私は甘い菓子が食べたいのだ。命令に背いたのは侍女だ」
本来なら不敬罪でむち打ちにしてしかるべきだというのに茶をかける程度で許してやったんだ。
「殿下、毒が完全に抜けていない状況で菓子など正気ですか」
「そもそも侍女は医師の命令に従っただけです」
「それを…このような」
使えない無能な医師よりも私の命令が優先されるのは当然だろう?
私は毒でこんなにも苦しんでいると言うのに誰も身を案じないとどういうことだ。
「貴様らは忠誠心がないのか!この私に…」
「殿下」
「解雇だ!追放だ!」
使えない無能は必要ない。
私の命令に従えない者は不敬罪だ。
即刻追放してくれるわ!
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「ですが、お望みならば辞職させていただきます」
「私もです」
この場にいる者達はそろって辞表を差し出した。
私に詫びるどころか、横柄な態度で辞表を出してその場から出て行った。
その後、侍女が世話に来ることはなかったが、公務を終えた父上と母上が見舞いに来てくれたのだが…
「ジルベール!」
「貴方…なんてこと」
真っ青な私を心配してくれている。
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だが私の予想は裏切られたのだった。
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父上の怒鳴り声に耳を疑った。
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