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第一章侯爵令嬢の婚約者(仮)
38特待生組
特待生の試験に合格した俺達は教室に集められた。
男子生徒三名、女子生徒三名ということで今年は豊作だったとのこと。
「おめでとう諸君」
学園長時期時に挨拶が行われた。
元より奨学金を利用していた側として今さらな気がしたのだが、特待生は特殊らしくシステムが異なる。
「君達は我が校の中でもとりわけ優秀な生徒として認められた。故に在籍中にも生徒であるが任務を受けてもらこともある…魔物討伐にも参加してもらうだろう」
通常、王立学園の魔術科、騎士科の上級生の中でもとりわけ優秀な生徒は任務に就くこともある。
授業の一環としてダンジョンに行くことはあれどランクが低く安全性が許された場合が多いが、特待生は別だった。
「錬金術科は採取の為にダンジョンに入ったり、付与魔法の為に戦場に同行することもある」
緊張感が走る。
俺は錬金術科の特待生だから同行しなくてはならない。
「実際戦場に出て実践訓練を受けて単位を取ることもある」
まさかに命がけということになる。
その代わり学費は免除で報酬も貰えるというメリットがあるわけだ。
「ただ、忘れないで欲しい。君達は一人ではない。仲間がいることを」
入学式の時も思ったけど学園長は本当にいい人だよな。
教育熱心で言うか、身分さが激しい中でも平等に学べる場を提供してくれているんだから。
「では解散」
程なくして俺達は解散となった。
「話短くて助かったな」
「既にあくびをしていた方に言われたくありませんわ」
デューンの隣で厳しい言葉をかけるレティー。
「堅苦しいな…戦場で真っ先に死にそうなタイプだな」
「その言葉そっくりそのままお返ししますわ。貴方のような方は戦場で一番先に敵に殺されるのではなくて?」
「はははっ!面白い冗談だな!」
すごい!
レティーを笑いながら軽くかわすなんて。
普通はできないな。
「アレックスって、奨学生だったんだろ?」
「えっ…うん」
「後で学校案内してくれよ。できたらサボれる場所」
堂々とサボる宣言。
特待生は他の生徒よりも厳しい状況なのに。
「随分余裕のようですね」
ふと声が聞こえた。
「貴族様は呑気で本当に羨ましいことだ」
「ん?何だよ」
金髪のおかっぱヘアースタイルをした男子生徒が睨んでいた。
「一年生から特待生をキープしてる人ですわ」
こっそりレティーが耳打ちしてくれた。
「あの…」
「君は奨学生だったそうで?なのに今年から特待生枠に入るとは…随分恵まれているようで」
「あー…」
「最初から特待生に入らなかったのは出し惜しみですか?かなり迷惑ですね」
明らかに敵意を抱かれている。
初対面なのになんでだ?
「聞けなあの王子の側近を長らく勤め、恩恵を頂いていたというのに実習にも参加しなかったようで」
実習は別でお金がいるから参加できなかったんだ。
側近の仕事もあったし、休み時間はほぼない状態だった。
「なのに、手を抜いていたようで?私とは頭の出来が違うのでしょうね?ああ、平民の私と比べるのも失礼でしょうね?」
言い訳ができない。
俺の事情なんて他人が知るわけもないし言い訳をする気もない。
これが他の生徒の正しい評価なのだから。
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