義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

文字の大きさ
49 / 196

48何事も無く

しおりを挟む




それから三日間。
頭を強く打ち熱を出してしまった私は部屋から出る事はなかった。


その間エセルバート様は邸に帰るのは夜で私はその時間は寝ていた。
起きていたけど寝たふりをしていたのだった。


「こんな時、お祖母様だったらどうしたのかしら」

辛い時はお祖母様の言葉を思い出していた。


でもこんな時どうしたら良いか解らない。

お祖母様も嫁に来た時は相当苦労をしたと聞いている。
でもお祖父様がずっと支えてくれていたから耐えることができた。


私が小さい頃に既に病で亡くなっていたけどお祖母様はお祖父様がいたから耐えられたと。


だけど私は…


私達の間に絆はあったのか。



三日間エセルバート様には部屋に訪れる事はなく。
怪我の事も何も言わずにいたけど、気まずそうな顔をするだけで私も何も言わないでいた。


その代わりに。

「奥様、包帯を変えましょう」

「エレナ…」

「傷の治りも良くてようございましたわ。これも団長様のおかげですわ」


「ええ…」


私の世話を率先してくれるエレナは事あるごとにエセルバート様と私が二人きりにならないようにしていた。


「おいお茶は…」

「奥様、ハーブティーをお持ちしました」

「奥様、今日はお天気ですのでバルコニーでお茶に致しましょう」


エセルバート様がお茶のお代わりを言うも言葉を遮るようにマヤや他の使用人も私を囲む。

「お茶のお代わりだ」

「承知しました」


そう言いながらマヤは早々にお茶を用意するも、カップに注ぐのだがかなり乱雑で早かった。


「あっ…美味しい」

「蜂蜜を淹れましたの。今新しく開発中で侯爵夫人から届きましたの」

「おい、何で先に僕に…」

「従者の方に一番最初に奥様にとの事です」


きっぱりと告げるマヤに顔を顰めるが気にも留めない。


「奥様、プリメーラ商会からお手紙が」

「ジョイル、何故僕に見せないんだ」

「いえ…エセルバート様では解らないかと」

「そんなはず…」

奪う様に手紙を受け取るも、手紙は他国から送られてきていた。


「これは…」

「外国語ですので読めないかと思います」

「なっ…」


現在プリメーラ商会は輸入を中心にしており国外にいる。
手紙も母国語ではないので読めないのだ。


「だが…」

「奥様は四か国語ペラペラですものね」

「ええ、ここ最近は帝国の語学も独学で学んでおられますものね」


エセルバート様の留守の間に私は他国の言葉や文化を学んでいた。
ロベスペール侯爵家で色々学ばせてもらっていたのだから。


「女は学問をする必要はない!これから手紙は僕に持ってこい!」

「エセルバート様…」


朝食の時間すら癇癪を起こすようになり、外回りに出かけてしまった。


そんなやりとりが繰り返される中。
邸の空気はギスギスしてしまい私はできるだけエセルバート様の言う通りに振舞う事にした。


けれどそれはエセルバート様の為じゃない。
使用人の皆を守る為だった。


その一方で心の片隅に優しかったエセルバート様を忘れられなかった。


だけど私の思いを踏みにじるようにあの人は私が手掛けた事業を自分の物とした。


その結果事業は傾き家は逆戻りとなり。
その二週間後。


「お義母様…」

「今日からまたここで暮らすわ」


突如お義母様が邸に戻って来た。
お義父様の病気が快復した事により邸に暮らすとの事で私は…


「お前は離れに行きなさい」

母屋から追い出されてしまった。


しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

妹に婚約者を奪われた上に断罪されていたのですが、それが公爵様からの溺愛と逆転劇の始まりでした

水上
恋愛
濡れ衣を着せられ婚約破棄を宣言された裁縫好きの地味令嬢ソフィア。 絶望する彼女を救ったのは、偏屈で有名な公爵のアレックスだった。 「君の嘘は、安物のレースのように穴だらけだね」 彼は圧倒的な知識と論理で、ソフィアを陥れた悪役たちの嘘を次々と暴いていく。 これが、彼からの溺愛と逆転劇の始まりだった……。

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。

ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。 事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw

初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました

柚木ゆず
恋愛
「俺の前で声を出すな!!」  マトート子爵令嬢シャルリーの婚約者であるレロッズ伯爵令息エタンには、隣国に嫁いでしまった初恋の人がいました。  シャルリーの声はその女性とそっくりで、聞いていると恋人になれなかったその人のことを思い出してしまう――。そんな理由でエタンは立場を利用してマトート家に圧力をかけ、自分の前はもちろんのこと不自然にならないよう人前で声を出すことさえも禁じてしまったのです。  自分の都合で好き放題するエタン、そんな彼はまだ知りません。  その傍若無人な振る舞いと自己中心的な性格が、あまりにも大きな災難をもたらしてしまうことを。  ※11月18日、本編完結。時期は未定ではありますが、シャルリーのその後などの番外編の投稿を予定しております。  ※体調の影響により一時的に、最新作以外の感想欄を閉じさせていただいております。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

どうやらこのパーティーは、婚約を破棄された私を嘲笑うために開かれたようです。でも私は破棄されて幸せなので、気にせず楽しませてもらいますね

柚木ゆず
恋愛
 ※今後は不定期という形ではありますが、番外編を投稿させていただきます。  あらゆる手を使われて参加を余儀なくされた、侯爵令嬢ヴァイオレット様主催のパーティー。この会には、先日婚約を破棄された私を嗤う目的があるみたいです。  けれど実は元婚約者様への好意はまったくなく、私は婚約破棄を心から喜んでいました。  そのため何を言われてもダメージはなくて、しかもこのパーティーは侯爵邸で行われる豪華なもの。高級ビュッフェなど男爵令嬢の私が普段体験できないことが沢山あるので、今夜はパーティーを楽しみたいと思います。

俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?

柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。  お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。  婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。  そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――  ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?

処理中です...