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59失った物の大きさ~エセルバートside⑤
しおりを挟む社交界での噂は酷く王都に止まらず地方にまで流れて行った。
「お兄様の所為よ!」
「お前はなんて事をしてくれたの!」
僕の噂の酷さで懇意にしている服飾店に行けば出入り禁止を命じられるだけでなく、馴染みの商会から一切手を切られていた。
アリアが邸を出る前に定期的に商売に来ていた商人はぱったりと来なくなった。
それだけでなく事業の失敗で借金が膨れ上がりもう金を貸す事は出来ないと言われた。
カスティージョ家が管理している土地を売ろうにも、僕が邸に戻ってからは管理がされていなかったので使い物にならなかった。
「以前はアリア様が頻繁に土地の管理をされていたのですがね」
「それは…」
「それから他の物件ですが、既にこちらは貴方の物ではありません」
「何故だ」
手元にある物件で持て余しているので売ろうと思った。
他にもアリアの名義の土地も売れないと言われたので何故と思ったが。
「アリア様は既に離縁されているのですよね」
「ああ…」
「奥様のご実家や、奥様が直接第三者から譲られた土地などは奥様名義になります。これが親族…実母や実兄でしたら法的手段を取り名義を変更できますが」
「僕は夫で…」
「例え夫でも無理です。お子様がいらしたのなら別ですが…余程の事情がない限り名義を勝手に変更は出来ませんし。ご本人様が譲られた同意書も必要になります」
「そんな…」
すぐに金が必要なのに。
何かにつけて手続きや保証人が必要だった。
これまではここまで手間がかからなかった。
そうだ、僕が邸に帰ってからも物件を売る時も購入する時も簡単だったのに。
「何より戸籍から抜けているのであれば元妻。現在では他人になりますので…ご本人が直接出向き、書類にサインをしていただかなくてはなりません」
「何とかならないのか!これまでは…」
「ええ、これまでは可能だったのはアリア様は信用がありましたし。なんせシャドール侯爵夫人の後見もありましたので」
「それだけで…」
「後はアリア様自身も商人の信頼が強く、プリメーラ商会の会長が保証人になってくださっていたので」
プリメーラ商会?
そうかその手があっあたじゃないか。
彼等はアリアに恩を感じているならば僕に協力するはずだ。
「じゃあプリメーラ商会の会長、もしくは副会長がいれば可能か?」
「えっ…」
こうしてはいられない。
急いでプリメーラ商会の会長に頼まなくては!
「本人の同意書は保証人がいても必要なのだがな」
「それ以前に門前払いをされるとどうして思わないのでしょう」
気持ちだけ焦っていた僕は彼等がこんな会話をしていたなんて知る由もなかった。
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