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73ただ一つの悔い
新しい生活にも慣れて来た。
ただ夜になると眠ることができなくなる。
「アリッサ…」
僅かな時間しか一緒にいなかったけどあの子が心配だ。
メリッサ様はちゃんとアリッサの面倒を見ているだろうか?
邸内の侍女は独身者ばかりだから育児は初心者だった。
だから私が代わって面倒を見ていたけど。
「アリッサ、お腹を空かせていないかしら」
通常なら母乳を飲むのだけど粉ミルクでも直ぐ飲んでくれた。
夜泣きはあったけどすぐに眠ってくれて、本当に良い子だったし暴れる事もない。
最近になってわかったけど。
同じぐらいの赤ちゃんはもっと手がかかる。
なのに夜泣きはあったけど、泣く回数は少なかった。
「私は母親じゃないし。でも泣いていたら。一人で心細い思いをしていたら!」
考えれば考える程心配になる。
「でもカスティージョ家には戻れないし」
「アリア様、どうなさいました」
「ジョナ!」
ダイニングでうろうろしている私に声をかけてくれたのはジョナだった。
「まだ起きていらしたのですか?」
「ジョナ。アリッサは大丈夫よね?」
「え?」
もう私はあの家と縁を切ってしまった。
だからアリッサに会いに行く手立てはないのだ。
かと言って育児に不慣れな使用人。
エセルバート様は育児を私に丸投げしていたから育児ができるとは思えない。
「一人で泣いていないかしら?お腹を空かせてないかしら?アリッサは…」
「アリア様、どうか落ち着いてくださいませ」
そうよね。
アリッサの事を言われても困るわね。
「アリッサ様の母君はメリッサ様です」
「うん…」
「未だに母親としての自覚がありません」
エセルバート様は女性なら自然に母性本能が生まれると言っていた。
「母性にまだ目覚めてないのかしら?私は母性がないと言われたけど」
「そんなことを言われたんですか…あの男!」
何時も優しいジョナが怒っていた。
私は何か失言をしてしまったのだろうか?
「子を産んだから母性が芽生えるのではありませんわ」
「そうなの?」
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「そっか…私は母親になれない。資格はないと思ったんだけど」
「あんのぉ屑男!」
エセルバート様に母親になれないと言われた言葉はショックだった。
でも母親は子供にしてもらうなら私も何時か立派な母になるかな?
そんなことを思っていたら。
「マンマァー…」
そうこんな風に。
「あれ?」
今の声は――…
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