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131自由過ぎる客人
しおりを挟むバルト様は宣言通り、視察と言いながら滞在期間はスープの冷めない距離に滞在するも。
「アリア、今日の夕飯何?」
「あの‥」
「私の妻を呼び捨てにするな。そして堂々と食事をしようとするな!マヤ、何で茶の用意をしているんだ」
「申し訳ありません」
強い。
強すぎるわ。
ここまで強気でいられるなんて凄いわ。
「滞在費はちゃんと支払ったしチップも弾んでいる。それに俺がいた方が助かるだろ?」
「むしろ逆だ。滞在費は返すから今すぐに王宮に向かい滞在させてもらえ。私のストレスが蓄積されるだろう。現在進行形で爆発しそうだ」
「何だ?騎士の癖に情けないな。不屈の精神を持てよ」
「お前を前にしてそんなの持てるか」
「ハッ、こらえ性の無い奴め?だから媚薬如きでハッスルしてしまうんだよ」
「お前!」
媚薬って‥
やっぱり新婚旅行中、夜になるとおかしくなったのはそれ?
「感謝しろよ。お前が性欲抑制剤なんて飲み続けるから荒療治で治せるように知り合いに頼んで解毒剤を用意して貰ったんだ」
「あれがか!」
「ああ、上手く言っただろ?翌日体が軽かっただろ」
「いや…まぁ」
私の知らない所で二人の間で何があったの。
「お前、薬を使い続けたら本当に死ぬぞ。あの媚薬も量を加減してるんだよ」
「だからと言って…」
「少し奥方に頼れ。夫婦なんだからな」
口では悪ふざけが多いようだけど、やっぱりいい人なのね。
でも夜の営みに薬を使うのは危険なんだ。
「あの。少し質問しても」
「どうぞ?」
「そのとても下品な質問で申し訳ないのですが」
「構いませんよ」
もしここにジョナがいたらはしたないと怒られるのだけど。
「あの…例えばです」
「はい?」
「例えば惚れ薬のような薬を使った場合、体に影響がでたりしますか?」
「ああ、あれは影響なんてものじゃないですね。猛毒です…例えは女性側から使ったら最悪な事になる」
最悪な事になる?
「そもそも男は薬を使っても一度や二度程度ならさして害になりません。ですが、媚薬の強い効果…しかも効果的な薬は惚れさせたい相手に飲ます前に自分が飲みます」
「あっ…はい」
「その量は仕掛けたい本人の方が多く飲んだ後に相手に口移しで飲ませる。その後男女の交わりなんてしたら毒が回るのは確実…しかも若い娘ならば最悪な事態になる」
「最悪な事…」
「軽度なら梅毒の悪化、子供が出来ない体になる」
既に軽度じゃない気がする。
「神経が壊れて人を判別できなくなることもある、性格が狂暴になってしまうパターンも。どちらにせよ媚薬は専門家の指示を無視して使えば悲惨だ」
「そもそも媚薬を推奨すること自体おかしいだろ」
「だろうな…だが、非常事態もあるんだよ」
今になって思う。
メリッサ様は男性に薬を使っていると聞いたけど、大丈夫かしら?
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