義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません！

138大公家からの贈り物

お腹も膨れ、そろそろの頃。
お祖母様とお母様にお義母様がお世話に来てくれた。

「いやぁ、針子に新しく新調させてな」

「あい！」

「エンジュとお揃いにしたんだ」


ベビー服が沢山だった。
他にも肌着が沢山だ。

エンジュはどんどん言葉が話せるようになり現在は歩けるようになったのだけど。

「最近は活発でな」

「そうなんですか…エンジュ」

「ねーね！」

私の膝に座ろうとすると傍付きの侍女が真っ青になる。

「姫様いけません」

「いいわ」


私の膝に座りたがるエンジュを抱きあげる。

「そうかそうか。やはりアリアの膝がいいのか」

最近は大公家に行くことも減った。
新婚旅行から帰ってすぐに妊娠に気づいた事もあるからだ。


「子供が生まれたら姉妹のようになるな。楽しみだ」

「まぁ旦那様ったら」

侍女長は苦笑する。
まだ少し早いけど、ここまでよろこんでくださるなんて。


「男の子であろうと女の子だろうと元気な子であればいいのです」

「ええ、お母様」


貴族社会では跡継ぎを望むけど我が家では子供が元気ならどちらでも良かった。


「ただ、出産が近くなると…」

「心配ない二人共」

お祖母様とお母様が心配そうにするもお義父様が胸を叩く。


「万一の時の為に護衛を三十人用意してある」

「旦那様…」

侍女長が呆れるのも当然だ。
出産でそんな大騒ぎをしたらとんでもない事になる。


王家の出産じゃないのになんて大袈裟な。


「まぁ護衛の数はどうにかしていただくとしても、出産は命懸けです。当日は私達も立ち会いますので」


「ありがとうございます」

「そういえばハイアット辺境伯爵夫人は？」

「野暮用があると聞いているので夜にいらっしゃるそうです」

辺境地で何かあったのかしら？
手紙では今日の昼過ぎにはいらっしゃる予定だったのに。



「私達とは異なる辺境貴族を束ねる方ですから」

「何もなければいいのですが」

「大丈夫ですよ」


辺境貴族の女性を束ねる存在でもあるお義母様は私の考えなんて及ばない。


「ただ私達も準備はしておくべきでしょう」

「そうですね。私達ができるのは薬草を用意する事」


お祖母様とお母様の言葉でハッとした。


そうだ。
私にできるのはそれだけでそれしかできない。

でも今は自分にできる事をすべきだ。


「アリアは元気な子を産むこのですよ。それが最優先です」


「はい、お祖母様」


私は私のできる事をしよう。
そう思っていた矢先の事だった。


下町で梅毒が流行始めたのは。