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139最悪の事態~エセルバートside
しおりを挟む父の病の悪化は酷く寝てきりで動けないだけならまだ良かった。
だが頭はおかしいが体はそこそこ動ける。
しかも隣近所の女達が親切心で世話をしに来る傍ら僕達の態度の酷さを指摘する。
「アンタ達何やってんだ」
「掃除もろくにせずシーツも交換しないなんて」
何でそんな事までしないとダメなんだ。
「シーツなんて使用人の仕事よ。大体生まれてこの方シーツ交換なんてしたことないわ。死にはしないでしょ?」
「大体邪魔なのよ。早く死んでくれれば保険金が出るのに」
そこに悪びれもなく、何もしない二人は当然だと言わんばかりの態度だから状況は悪化する一方だった。
「おい二人共…」
「何て最低なんだい!優しい嫁を虐げ、孫の次は夫か」
「ここまで来たら悪魔だね」
ここでそんな話をされたら町から町に噂を広め目られる。
「これは特別措置を取ってもらうしかないよ。本当に」
「可哀想だね…」
最悪な展開だった。
おしゃべりな女達はあちこちに言いふらすだろう。
「最近では梅毒の病が流行して大変だっていうのに…」
「梅毒?」
「ああ、何処かの馬鹿息子が昔に女を抱いて病移されたそうだよ」
馬鹿な男もいたそうだ。
女を抱いて病気を移されるなんて。
「その女は薬をしていたそうだ。その薬がかなり厄介だ…まさかアンタの妹じゃないだろうね」
「いい加減にしてくれ。そんな噂で」
「そうよ。この私は病気なんてありえないわ」
確かにメリッサは若い頃気に入った男と肉体関係を持ったが避妊はしているはずだ。
でなければ性行為で変な病気を貰う事になる。
特に貴族以下の男は不衛生だろうし、子供が出来たら大変だ。
「初期症状は下痢や嘔吐だ。その後顔にできものができる」
「そんなもの…うっ!」
「メリッサ、どうしたの?」
「何か喉が…」
急に口を押えせき込むメリッサ。
我慢できずその場で吐き出す。
「アンタ…」
「まさか梅毒の病気じゃ」
何を言っているんだ。
そんなわけないだろう。
「ゲホゲホっ…うっ、お腹が痛い」
「メリッサ!ちょっと!」
「痒い…顔が痒いの」
嘔吐の次は腹痛が遅い、顔が痒いとかく。
人前でこんな事を今まで一度でもしなかったのに。
「痒いの…体が!」
「止めなさいメリッサ‥ひぃ!」
顔に発疹が首元だけじゃない。
「ひぃ…メリッサ」
母上が袖を捲ると腕は紫色の発疹ができていた。
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