義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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177献身的な孫

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当時の事を聞き込みしてすべてを知った私は早々に権力を使った。
爵位を賜っても私は絶対に権力を使う事を良しと思っていなかったけど、今は綺麗ごとを言っていられない。


真夜中、ある部屋の明かりがまだついている。
熱も下がり一応は安定したジョイルであるが昼夜問わず看護をしているマヤの体調が心配でならない。


「マヤはまだ休んでいないのか」

「はい」

休むように言っても聞いてくれない。
寝ている間に何かあったら怖いと涙ながらに言われてしまえば私は何も言えなかった。


「マヤにとっては育ての親だ」

「はい…故にマヤの苦しみは相当なものです」

「ああ」

エレンディス様はマヤを休ませたいと言いながらも無理強いはできないと思っている。
だからこそ万一の為に他の侍女を傍につけている。


献身的過ぎると言えば言い過ぎかもしれない。
でも、このままではマヤが倒れてしまうわ。


「マヤの食事にも気をつけるようにしている。何かあった時の為に侍女にも命じてある。私達の最優先は青の男だ」

「ええ、計画は進めております」


ジョイルを傷つけた罪は重いわ。
調べれば調べる程、許しがたいと思っている。


ジョイルを脅迫して寄付金を奪おうとしたなんて。
そんなゴロツキに成り下がった事も許せないけど、孤児院の院長も許せないわ。


「普通に捕らえて終わりなんてありえませんわ。指名手配をして、じわじわと追い詰めるのです」


「噂に関しては既に流してある」

「ありがとうございます」


罪人にとって一番の恐怖となるのは処刑されるまでの時間だ。
その時間が長ければ長い程精神はどうなるか。

殺されそうで殺されない。
生殺し状態でいることがどれだけ苦痛か身をもって知らせるべきだわ。


「犯罪心理学の学者さんに素敵なアドバイスをいただきましたの」


「バルトか」


「はい」


本当に人脈のある方だわ。
今回事件の為にご尽力くださって感謝してもしたりないわ。


「ジョイルのお弟子さんも動いてくださってます」

「通常、一日で指名手配というわけにはいかないのだが…」

「障害罪として決定するにも時間がかかります。ですがお弟子さんの中にはコネクションがあります」

高位貴族に仕えていらっしゃる執事。
しかも執事の中でも最高ランクのバッジを持っていればやり方によっては可能なのだから。


「現在町に噂をバラまいてもらった…すぐに捕まえない」

「ええ。恐怖心を煽ってやりますわ」


「あっ…ああ」


私はここまで冷酷だとは思わなかった。

だけどこれぐらいしてもしたりないと思う自分がいた。

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