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188残酷な優しさ
しおりを挟む話し合いの後に私は彼、ビョンルンが最後まで私を宣ることが無かった事が苦しかった。
責めてくれた方が楽になれると思った。
けれど彼は責める事が無かった。
「アリア、大丈夫か」
「エレンディス様」
私は今とても情けない表情をしている。
泣く資格も傷つく資格もないのに私は傷ついているの?
「話は聞いた」
「私は…」
「辛いのだろう」
「そんなことは!」
辛いだなんてどの口が言えようか。
ビョンルンは私を責めなかったけど、彼の真意は解っている。
責められて楽になるなと言う事だ。
勿論彼は私に逆恨みをしているわけではないし、先程の言葉お嘘偽りはない。
だけど多くを語らない彼の思いが伝わった。
「君だけの所為じゃない。だが仕方なかったとは言わない」
「はい」
「だが、君だけが背負うのは間違いだ」
「エレンディス様」
私が見誤ったばかりにこんな結果になった。
もっと早く離縁すればよかった?
それともハイアット家に嫁いだ時にすぐに危険性を考えるべきだった。
「後に悔やんでも仕方ない。今私達に出来る事は少なすぎるんだ」
「解ってます…解ってます!」
だけど悔しい。
ビョンルンがどんな思いか。
愛する婚約者を奪われ尊敬する上司を失う事の苦しみはどれ程大きいか。
「せめて恋人の女性が生きている事を願うしかない」
「はい…」
川に身を投げても遺体が見つかる可能性が低い。
それは台風などが起きた時、流れが速く最悪の場合川から海に通じて捜索が困難だからだ。
漁師等では無理がある。
水軍を動かしても水中の中を全て探すのは困難だ。
生きている可能性は引くだろうけど。
「私達にできる償いだ。無論許されないだろうが」
「はい」
「エセルバートは罪を重ね過ぎた」
「ええ」
ここまで罪を犯したのだから国外追放で住むはずがない。
国外でまた罪を重ねられたらと思うと恐ろしい。
「重罪であるが、貴族ではない…だから死罪にはならないと思うが」
「いいえ、楽に死なせてはなりません」
持って生きようによっては極刑にできる。
でも死罪にしては被害者はどうなるの?
簡単に死んで許しますなんて言うはずがないのだから。
「今はとにかくビョンルンの恋人を…」
「私にお任せください!」
扉が開き現れたのは言うまでもない。
「エレナ…」
「話は聞かせてもらったぞ!」
バルト様も一緒だった。
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