ある公爵令嬢の生涯

ユウ

文字の大きさ
56 / 408
第二部メトロ学園へ入学

20マラソン

しおりを挟む



午後の授業が始まった。

「これよりマラソンを行う」

「「「はい!」」」

全員位置に着くように言われるも、エステルを見て考え込む。

「エステル君、君は女子なので…」

(やっぱりね)

特別扱いをする気はないが、この対応はいたって普通だった。

男性と女性では体力が異なり、しかもエステルはまだ成人してない子供なのである程度加減しなくてはならないので普通の対応だったが周りはそう見ない。


「やっぱり無理だろ」

「大体女が騎士科にいることが間違いなんだよ」

「ついて来れねぇなら参加するなよ」


陰口は常に聞こえ。
これ見よがしに言い放ちエステルを追い出そうとしていた。


「エステルさ…」

「待て」

ルークが庇おうとしたがユランが腕を掴み止めに入る。

「大人しくすると」

サブローもじっとこらえる中…


「先生、私ならばお気になさらず」

「いや…しかしだな」

「私も騎士科の生徒です。この程度問題ありません」


こんな挑発に乗るつもりはない。
元より想定範囲内なので何も問題ない。

(それにしても懲りない人)


常に嫌味を言うしか能のない連中に呆れる。


「では始め!!」

教師がホイッスルを鳴らし、全員位置に着き走り出す。



「くそっ…キツイ」

「はぁ…やべぇ」


一定の速度で走るだけではなく競争となっているので生徒達は30分後には疲労が見えるが…


「お先に」

「「「は?」」」

その真横を颯爽と走るエステル。
息一つ荒れておらずしれっとした表情をしている。

(嘘だろ!!)

(何で平気なんだよ!)


クラスメイトは既にバテバテなのにエステルは余裕だった。

それというのも最初の方にペース配分を考えず走った彼等は体力が残っていない。


「ペースを上げる!」

「「「はい!」」」


ホイッスルを鳴らされさらに速度を上げられついていけなくなるクラスメイトは焦りだす。


「邪魔だ」

「どくとね」

その横を軽々と走るユランとサブローも余裕だった。


なんとかかろうじて追いつくルークは汗をかきながらもなんとかペースを崩さず保っている。


「くそっ!!」

「ふざけやがって!!」


一番前を走るエステルを追いかける。


「邪魔だ!」

「っ!!」

全速力で走り接近して腕を振り下ろそうとした。


‥‥が。


バキッ!


「いっ!何しやがる!」

隣を走っていた男の顔にぶつかる。


(クソっ!!)


その反対に挟み撃ちを試みていた男は足をひっかけようとしたが…

「お、エステルさんあれを見ると」

「え?」

くるりと反対方向を見る瞬間、サブローはエステルに足を引っかけようとした男の足を踏みつける。


「すまん、間違って踏んでしもうたと」

「てめぇ!」

「おい、前を見ないと危ないぞ」


興奮する男にユランが緩く告げると。


木の枝に頭にぶつかり倒れる。


「ぶっ!」

そのまま派手にコケる。


罠を仕掛けていた連中はさらに遅れてしまった。



「なんだったのかしら?」

「さぁ?」

「気にすことないっちゃ」

「ええ」


三人は内心でいい気味だと嘲笑う。


「こんなんでいいと?」

「ああ、エステルのプライドもあるからな」

三人の目的はエステルの妨害を防ぐことだけだった。

あまり庇い過ぎてもエステルを傷つけるので考えた結果だ。


「後は自分でなんとかするだろ?」

「おお…」


ユランはおんぶにだっこはしない主義だった。
相手の成長の妨げになることは守るということにならない。

あくまで見守るつもりだ。
エステルが本当に助けて欲しいと行った時に手を貸せればいいが、今回だけは正直頭に来たので手を出したが共用範囲内だろうと思った。


(変な所鈍いしな)


エステルは三人が率先して守っていたも井戸端会議をしていたことも気づいていない。


ユランが上手く隠したので知られるこちはない。


(知ったら怒るからな)


バレた時が怖いが、余り酷いようならそんな悠長なことを言ってられない。



(それにしても、こいつ化け物かよ)

完走し終え、一息つくユランはバテバテだったがエステルは軽く汗を流す程度だった。


「お前、何でそんなにスタミナあるんだよ」

「そうかしら?」

ケロッとしているエステルに手助けは必要ないのではないか思ってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】私を忘れてしまった貴方に、憎まれています

高瀬船
恋愛
夜会会場で突然意識を失うように倒れてしまった自分の旦那であるアーヴィング様を急いで邸へ連れて戻った。 そうして、医者の診察が終わり、体に異常は無い、と言われて安心したのも束の間。 最愛の旦那様は、目が覚めると綺麗さっぱりと私の事を忘れてしまっており、私と結婚した事も、お互い愛を育んだ事を忘れ。 何故か、私を憎しみの籠った瞳で見つめるのです。 優しかったアーヴィング様が、突然見知らぬ男性になってしまったかのようで、冷たくあしらわれ、憎まれ、私の心は日が経つにつれて疲弊して行く一方となってしまったのです。

私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

処理中です...