ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第四部帰省とお家事情

7.真の友

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ルークとロバートが何を話しているのかは解らないが困らせていることだけは解った。


「お父様、ルークを苛めないでください。彼は私の大事な友人ですのよ」

(大事な友人…)

目を輝かせエステルをじっと見つめる。

「えっ…何?」

何故そんな目で見られるのか解らないかった。


「エステル、君はもう少し思ったことを口にすべきだね」

「なんのことです?」

訳が解らないエステル。
ユランやサブローは口に出さなくてもエステルのことをそれなりに理解していたが、ルークはそこまで器用ではなかった。


言葉に出して、と言ってもらえなければ解らないのだ。

嫌われてはいないと思ったが友人として相応しいか自信がなかった。


「ルーク、エステルはよほど気に入った人間以外は目もくれないからね」

「えっ…」

「あんまりないい方ですわ」


人の好き嫌いをそこまではっきりさせていたつもりはない。
そもそも幼少期から周りから蔑まれ毛嫌いされていただけなのだから。


「言い方が悪かったね。エステル好意を持ってない相手と仲良くなんてしない。ある意味潔癖症だからね」

「ですから…」

フォローしているつもりがフォローになってない。

「私は他の方を避けたつもりはありません。皆さんが私を毛嫌いしたのです」

「まぁ、それに関しては同感ね」

「奥様…」

老婆姫と呼ばれ散々酷いことを言われてきたので、少し人見知りをするのは仕方ないかもしれない。

過去に無実の罪で殺されたのだから仕方ない。


「メトロ学園に行かせてよかったよ…君が本当の意味で守りたい人を得たんだからね」

「うっ…」

確かにメトロ学園に行き、エステルは何が何でも守りたい友人を得た。
王都では得ることができなかった友人を得たのだから、感謝せずには居られない。


「身分とは厄介な者だ…けれど忘れないで」

「はい」

「権力や身分は脆い」

貴族達は権力こそすべて揺るぎないものだと思っている。
弱肉強食の世界ならば仕方ないことだと思うし、実際間違ってないと思うが。


「権力よりも身分よりも真の絆こそが最後は自分の心を守ってくれる」

「真の絆?」

「特に騎士は護衛対象者を守るのに命がけだ、時に戦場に派遣されることもある」


極限での戦いで仲間との信頼が勝機の鍵となる。

「命のの際に人間の本質が見える、その時信頼できる仲間がいれば心強い。私はそんな仲間に巡り合って欲しいんだよ」

「エステル、貴方は沢山の友人を持たなくても本当に信頼できる友人を持ちなさい。そしてその方を大切にするのですよ」


財も権力も身分よりも本当に必要なのは信頼できる仲間だった。
人間とはゲンキンで薄情な生き物だと言うことをロバートも嫌という程理解している。


「血の繋がった親子ですら憎み合い、殺し合う。それが貴族だ…平民だってあるが」

「貴族の方が多いのも事実」

人事ではなかった。
実際自分の身にも起きた出来事なので嫌という程理解している。


(王に忠誠を誓っていても反旗を翻すわ)

前世であれほど忠誠を誓っておきながら危なく鳴ったら手の平を返したように逃げた貴族達。

だからこそエステルはそうならないようにしたかった。


「僕は難しいことは解りません。ですが…叶うなら」

ロバートの言葉を聞きルークは真っすぐに見つめて言い放つ。


「エステルさんと志を共にしたいと思っています。貴族として国を、国民を守り王族の皆様をお守りしたいとおもっております」

「ルーク」

エステルは純粋に嬉しかった。
傍に寄り添い志を共にしたいと言う言葉は一人ではないと言う意味だった。


「君は強くなるだろう」

「僕が…ですか」

「優しさと強さは一つだからね。エステルを受け入れることができた君はこれから先強くなれる」

「ですが…僕はエステルさんほどの剣術も魔法も」

未だに自信をもてないルーク。
他のメンバーはそれぞれ得意分野がある。

ユランは戦術を考え相手の弱点をついて勝利し、サブローは得意の体術と野性の感を使って相手を叩きつける。


エステルは身のこなしと魔法で相手を打ち負かせる。
アリスもジークフリートも優れた才能を持っているのにルークは優れたモノを持っておらず自信がない。


「そんなの必要ないわ」

「え?」

「剣術なんて優れた先生がいれば身に尽くし、ルークは炎属性なんだから訓練すればもっと強い魔法が使えるもの。何より博識で我慢強いわ…戦場では忍耐強さが求められるのだから」

お世辞を言うつもりもなく、庇う気もなく事実を言う。


「炎属性は精霊の中でも一番強いのよ…契約できただけでも誇るべきだわ」


「エステルさん…」

エステルの良い方はそっけなく聞こえるかもしれないがルークにとっては一番欲しい言葉だった。


「ふふっ…お嬢様ったら」

「あのおとなしいエステルが随分強気になりましたわね」

セレナとヴィオラが笑みを浮かべる。
少し前までは考えもしなかったが、ようやく守りたいものができたのだと思った。


「皆さん、そろそろ到着します」


「はい、ルーク。邸に到着するわ」

「はい」

互いにないモノを補い合える友人を得たエステルを見守りながら馬車は邸の玄関前に到着した。

この後更に彼等を驚かせることになるとは知らずにいた。



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